2月3日(金) 節分の豆をいただく 

 快晴14℃。

 昨夜送ったとある会社のホームページのコピーについて、発注者から返信メール。ボディコピーはほぼOKだったが、「キャッチフレーズがつまらない」とブンブン文句を言ってくる。が、その原因が本人の「こんな感じ」と書いてきた100字ほどの原稿にあるのだが、本人は雑誌の表紙みたいに強いものを期待していたらしい。ああそうですか、スミマセンね、頭の中まで読めなくて。これでまた何時間か余計に働かなくてはならない。くっそー。

 午後、不動産広告の資料集め。近隣エリアに建築予定の物件についてキャンペーン内容の要点を整理してみようと思ったのだが、30本ほど書き出してみたら、不動産広告の正解とは何かが見えてきて、翻って自分にダメ出しをしたくなった。過剰な言葉は性分に合わないしが、文章と格闘して懸命に練り上げたライターが確かにそこにいる。逢うことは決してないその人たちに、お疲れさま、プロの仕事をしていますねと声を掛けたくなる。

 夜9時過ぎに外出し、歩いて西新宿の本屋へ。探していた本は在庫切れだったが、参考になりそうなものがあり、購入できた。10時過ぎに虎の子へ。まだ、ご常連さんが4名いて、世間話をしながらゆっくり酒が飲めた。すでにお帰りのAさんから戴いた節分の豆がおすそわけされて出されたのだが、なかなか美味。甘くて、サクサクとした歯応えで、まったく嫌みがない。しかも高幡不動でご祈祷済み。ありがたい、ありがたい。どこかで見つけたら買うのを忘れないようにしよう。肩の凝らないメンバーのおかげで、穏やかな時間が過ごせてよかった。昼間のざらついた気分が少し晴れた。

 本日の虎の子は数組入っては数組帰るといういい案配でお客さんに来ていただいたそうで、シンクは洗い物がいっぱい。後片づけがかかりそうということで、先に最終電車で帰宅する。2月は始まったばかりだが、今月は少し忙しくなるといいんだけどな。


2月7日(火) 漬物石でメタルラックを解体する

 快晴10℃。

 朝から某社ホームページのコピーを微修正。ほぼOKをもらう。気が滅入る仕事が一つ終えられて、ほっとする。
 
 明日は粗大ごみの回収日。長く使っていたメタルラック、用済みになったプリンター、コピー複合機、掃除機を出すため、エイヤッと片づけることに。が、どうやってもメタルラックの1つの棚だけストッパーに食い込んでしまい、解体できない。金槌で叩いてもビクともしない。あんまり騒音を出すのも気が引け、外まで運んで管理人さんの助けを借りることにする。しかし、工具箱に入っていた結構な大きさの金槌で叩いても状況が変わらない。ふと、駐輪場に漬物石大の石が放置されていたのを思いだし、それでガツンとやってみることに。すると、重さ10キロほどもある石の攻撃にさすがのメタルラックも年貢の納め時と思ったようで、やーっと、やーっと解体することができた。が、最後の最後に力が余り、大石が膝の皿5cmのところに落下。痛たたたたたたたーっ、となる。

 大仕事を終えたあと、講演会のスピーチの整理やら、不動産広告のキャッチフレーズづくりやらをやっているとインターホンが鳴り、「向かいの会社だが、捨てられたラックをいただいてもよろしいか」とのこと。先ほどの様子をどこからか、見ていたのか。どうぞどうぞ、でも曲がっているかもしれませんよ、と伝えて、後はご本人に好きにしていただくことにした。

 夜中過ぎまで、テープ起こし。食事をしているテーブルの上にボイスレコーダーを置いて録音していたため、ボーイ係が片づける食器の甲高い音がものすごく耳障り。何度も聞かねばならず、遅々として作業が進まない。お願いしますよ。


2月12日(日) 早咲きの桜の知らせに頬が緩む

 快晴11℃。

 寒かったのと、仕事が気になって、今週末もジョギングなし。体の中に沈殿物が増えていることが分かる。あー、すっきりしない。

 朝から某社広告の原稿書き。週明けにプレゼンがあるため、デザイナーからも電話が入る。が、ひたすら書き、ひたすら直し、ひたすら消すような感じで、あまり進まない。パソコンの画面と向き合い、顔を赤くしたり青くしたりする姿を誰かに見られたら、ずいぶんヒマなヤツめと思われるだろうな。あまりにアイデアが出なくて、本屋でも覗くかと初台のオペラシティに向かったが、ショッピングモールは全館休業の日とかで、入ることができない。が、買いたい本があったわけでもないので、地元のスーパーで小さな買い物をして帰宅する。それでも、歩いた距離はトータル1.9km。自分の中ではその半分ぐらいに思っていたので、意外な長さにちょっと驚く。

 第1稿、6時アップ。ダメ出しをもらって、第2稿を9時半アップ。そして、第3稿を11時40分アップ。念のため1時間待ったが、それ以上の修正依頼がなく、帰宅したツマと夜中過ぎからぼんやり焼酎を飲み始める。やるべきことをやり遂げて飲む酒は、安酒であっても旨い。ツマいわく、近所の公園の河津桜(か、どうかは知りません)が満開になっているとか。日当たりがよい小高い丘に植えられているので例年早く咲くのだが、梅がほころぶ前に満開とは気が早すぎる。今年のこちらの仕事は、やっと蕾が膨らんだぐらい。早いところ、二分咲き、三分咲きになってくれたらと思う。今は春を待つような気分で、新しい出会いが待ち遠しい。


2月17日(金) 春一番に背中を押される 

 快晴20℃。花粉が飛びまくる。

 朝、新聞を取りに行くと、空気が湿り気を帯び、部屋の中より暖かく感じられた。テレビでは春一番と伝えている。本来は漁師言葉が由来し、その年最初に強い南風が吹いて海がシケることを指すのだが、縁起よさそうな字面を見るだけで浮き立つものがある。これで花粉が飛んでいなければ、もっとうれしいのに。

 昨日プレゼンした広告キャンペーンの返事はまだクライアントから来ないが、大コケの場合は緊急招集があるのが通例なので、それなりの評価だったのだろう。電話もメールもなかったことをいいように解釈し、7時過ぎ、久しぶりに外へ飲みに出かける。最初に思い浮かんだ下北沢の店は改装中とかで、東北沢の焼き鳥屋へ変更。高級でも、おしゃれでもないが、音のないテレビを眺めながら燗酒を静かに飲んでいると穏やかな気分になってくる。あまり、商売気がないところも好ましい。先客は近所で飲食店をしているような口ぶりだが、店を開ける前に一杯飲んで腹ごしらえをするのが日課という。酒を飲んで、よくまあ労働意欲が湧くものである。後から入ってきたお客さんは古くからの知り合いらしく、顔の傷があるものだから店主が大層心配した。足を滑らせて顔を地面でこすったのが本当のところだが、「カミさんに殴られたという話にして、飲み屋でウケている」とか。世の中、いろいろな人がいるものだ。
 
 虎の子に移動。常連さんの102歳になるおばあさんの話を聞きつつ、日本酒を飲み直す。親が80歳過ぎという友人は珍しくないが、100歳過ぎはさすがに珍しい。自分の意のままに体が動かせるなら、めでたい限り。こちらの父親は72歳で亡くしているので、羨ましくもある。最終電車前に参宮橋へ戻る。馴染みのバーの灯がまだ点いていたので、夫婦で顔を出すことに。サイドカーともう一杯飲んだが、カクテルの名前は失念した。1時過ぎに若い女性のお一人さんがご来店。引っ越してきたばかりで、一人で寄れそうな店を探して近所を飲み歩いているとのこと。今どきこういう女性がいるとは素晴らしい。酒飲みはそうでなくちゃいけない。時間とお金をかけてやっと見つけた居場所だからこそ、大切な友人を連れてきて、自慢したくなるってものだ。初めて会った人だが、あなた、いい人です。

 なんだかんだで、帰宅したのが1時半。今日はよく飲んだ。明日は病院に行く予定だったが、これで診察を受けたら何を言われるか分からないな。


2月19日(日) 日本刀と向き合う 

 ブルっと、快晴11℃。三寒四温ですな。

 地元にありながら、ついぞ訪ねたことがなかった刀剣博物館が来月に移転するとのこと。武家の文化に興味があるわけではないが、一度ぐらい足を運ばなくては冥利が悪い。時間もあったので、歩いて200mの博物館で日本刀を拝むことにした。

 今は財団法人が運営しているが、かつては民間有志の博物館だったそうで、建物は広くなく、造りもやや寂しい。年末訪ねた根津美術館と比べては、かわいそうなほど。が、外国人観光客には人気なようで、欧米系の人たちの多いこと。それと、歴女というのか、日本人の若い女性も同じぐらいいた。最後の企画展は「寄贈名品展」で、鎌倉時代から江戸末期の名刀が展示されていた。形は戦乱の時代は豪壮で大きく、そうでない時代は反りが優雅で女性っぽい。伊達政宗の愛蔵品や島津家に伝わる刀は鞘や柄(つか、と読むのです)、組み紐の細工が実に美しく、見とれてしまった。

 日本には刀の原材料になる鉄鉱石は奈良時代の頃に枯渇してしまい、そのために砂鉄を用いてたたら焚きで玉鋼を造り、鍛練して焼き入れする技法が開発されたと聞いたことがある。また、島根県雲南市のたたら製鉄の里という博物館で玉鋼を造る様子をビデオで見たのだが、火力を上げるのにものすごい量の木を燃やす。最先端技術が発達した裏では、今も昔も環境破壊があったことを知る。小さな博物館ながら、入場料は600円。ご近所だし、一度きりだし、まあ、いいか。

 スーパーで買い物をして、夕方帰宅。以後、本日は読書三昧。穏やかで幸せだが、もう少し忙しくならないものか。春がほーんと待ち遠しい。


2月25日(土) 隣町をふらつく

 快晴、12℃。春よ、こーい。もっと早く来い。

 プレゼン後、ウンともスンとも連絡がなかった案件が一昨日から動き出し、朝から夜までずーっと原稿書き。このところジョギングをご無沙汰しているのだが、その時間がない。デトックス、たまりっぱなし。

 夕方6時にまず1本分の原稿を上げ、明日の夜に送ればいいもう1本の原稿の目処がなんとか立ったのが8時。どうしても焼き鳥が食べたい気分になり、休日でふらふら飲み歩いていたツマに連絡し、初台で待ち合わせることにした。が、土曜の9時前だというのに、目指した店は早じまい。しょうがないので商店街をぶらぶらすると立ち飲みの店を見つけ、冷や酒を引っかけることにする。が、小田急が事故でツマがいつまでたっても来ない。そんなこんなで若い店主と話し込みながら90ccの酒を4杯も飲んでしまい、早くも出来上がってしまった。

 道に迷っていたツマとなんとか合流。軽いツマミを食べただけだったので自然薯の専門店に入ったのだが、こちらもラストオーダー30分前。慌ただしく3品頼んで、駅近くの居酒屋に移動した。そこで今夜のお目当てだった焼き鳥を注文できたのだが、なんだか腹が膨らんでしまったせいで旨さが分からない。焼き鳥は空腹の時に食べるに限ることを知った。

 なんだかんだで2月も残りわずか、待ち焦がれた3月までもう少しになった。春は本気でがんばらなくちゃな。