11月4日(金) 風邪でふらつく

 晴れて18℃。
 
 先週末に帰省した際、風邪を引いたらしく、一昨日から咳が続いている。頭も痛い。午後イチでインタビューの仕事が入っているのだが、かかりつけのクリニックは本日休み。やむなく、市販薬を飲んでごまかす。天気予報では最高気温が18℃といっていたが、自分では暖かいのか、寒いのか分からず、マフラーを巻いて家を出た。

 川崎にある某クライアント、この半期は業績がパッとせず。ここだけでなく、業界50社のうち黒字は2社だけだったとか。経済は感情で動くというが、いくら東京オリンピックでお祭り騒ぎをしても、明るい未来を信じている人が増えなければ景気はちーっともよくならない。インタビュー中、熱で頭がふらついたが、なんとか予定時間の2時きっかりに終了する。

 同行営業マンとタクシーで二子玉川まで。半年前に食べたつけ麺屋に再び寄って、遅い昼食。渋谷からバスで帰宅する。駅前では地元で一番古い木造家屋が取り壊し中だった。自分たちが22年前に引っ越したとき、1階のスナックはおばあさんママが営業していたが、そのうち電気が点かなくなり、飼っていた2匹のペルシャ猫がキャットフードを食べる姿も見えなくなった。参宮橋から昭和がまた一つ消えた。あの、おばあさん。進駐軍のオンリーさんという噂があったが、本当だったのだろうか。

 以後、夜中まで原稿書き。体調が思わしくなく、予定した量を書けずじまい。うーん、残念。週末はペースを上げないと。


11月9日(水) 長い仕事が終わる

 曇って13℃。

 連日の細かい仕事で、目も肩も腰も疲れ果てる。長く続けている和食店PR誌の仕事、そろそろ連絡があってもよい頃だが、クライアントからは何も言ってこない。担当するデザイナーがスケジュールを心配するので、担当課長にメールしておくことに。朝から社長インタビューの原稿書き、ほぼ終える。あとは2、3度読み返して手を入れればいいだろう。その後、全国の名物料理を紹介するカタログの原稿書きをするが、こちらはなかなか筆が進まない。明日までにノルマ108アイテムの半分まで書きたかったのだが。資料として渡されたものがまことに低レベルで不完全。こんな原稿でよくおまんまが食べられたものだと感心するほどだが、そのぶんこちらは自分で全部探して裏を取らなくてはならなくなった。えーい、どうしてくれる。

 夕方、午前中メールしておいた件でクライアントの課長から電話があり、「次号は当面延期する」とのこと。悪い予感は当たるものだ。足掛け15年、48号まで続いたPR誌だったが、おそらく打ち切りだろう。課長は単なるイエスマン。決断したのは、今年の春に異動してきた本部長である。同期入社のライバルがやってきた(けっこう評価されてました)仕事をアホンダラ部長が疎ましく思っていることは感じていた。「会社の旗艦業態の重要さを何も分かっていない」と前本部長が心配していたが、その通りになってしまった。飲食店の販促物で、直接売上に貢献しないツールがここまで続いた方が奇跡ともいえるが、長い間、1年間のリズムになっていた仕事がなくなるのは寂しい。今年に入って、すべてがギクシャクしてストレスがたまることが多くなっていたから、ほっとした部分もあるにはあるが。自分にお疲れさまと言いたい。

 しみじみ感傷に浸ってもいる閑はない。まだまだ書かなければいけない仕事が待っている。夜中過ぎまで、ひたすら原稿書きと悪戦苦闘する。最終電車で帰ってきたツマにPR誌の件を伝えると、前々からなくなるかもと言っていたせいか、さして驚かれず。ただ、自分では平静だったつもりでも、酒を飲むと悪口が止まらず、頭の悪いアホンダラ部長を罵ったり、呆れたり。PR誌で廻ったのは全国48カ所。そのうち初めて訪れた県は14ある。原稿を書けないこともそうだが、年に4回の旅ができなくなったことの方が寂しい。

 さて、新しい仕事を頑張らなくちゃ。

 
11月10日(木) アメリカ大統領選の結果に唖然とする

 曇って13℃。

 昨日はアメリカ大統領選挙で、まさかと思っていたトランプが本当に当選してしまった。ヒラリーの言葉はオバマのように胸に響くものがないが、粗野で、稚拙で、公然と人種差別をする人物が選ばれるとは思いもしなかった。アメリカ人じゃなくても、暗澹とした気分になる。世界の知性がどんどん劣化して、みんな自分のことで精いっぱいになっているだろうな。なんだか、15年前の9.11の夜が思い出される。

 『宗教からよむアメリカ』という本に、「アメリカ人は見えざる国教を持つ宗教国家である。選民思想があって、自分たちがやっていることはすべて正しいと信じている」と書かれていたけど、そのアメリカ人の遺伝子さえ、長引く不況と嘘だらけの正義の戦争で潰えてしまったようだ。国民の半分がエスタブリッシュメントより、仕事だけは作ってくれそうなキンキラ趣味の不動産王を選んだ。これで少なくとも4年間は、政治経験がない人物が超大国のリーダーになる。横山ノックが大阪府知事になったのとは、訳が違う。世界は一体、どうなってしまうのだろう。

 夜になって、和食PR誌のプロデューサーから次号延期とのメールが入った。こちらはすでに聞いていたので、ああそうですかという感じ。それよりも15年続いた仕事が打ち切られるというのに、プロデューサーからの挨拶がそれだけとは。不徳のいたすところ、とかなんとか殊勝なことを言っているけど、なんだかなぁ。


11月15日(火) 本を処分する 

 曇って19℃。ちょっと暑いな。

 昨日、分厚いカタログの第1稿を書き上げ、10日間近く続いた原稿書きが一服。時間ができたので、ずーーーーっと前から気になっていた本棚や壁に積み上げられた料理関係や農業関係の本を処分するべく、朝から格闘する。本棚の奥に手を伸ばし、入れっぱなしの段ボールを開け、捨てるものと残すものを選んでいるうちに、たちまち仕事部屋は本だらけ。遅く起きてきたツマが、「引っ越しでもするのか」と聞いたほどだった。ついでに、この先、読み返すことがないと思われる司馬遼太郎、池波正太郎を中心としたし小説類もひと山片づけることに。そんなこんなで、合わせて400冊ぐらいを減らすことにした。ただ、それでも貴重本や読み返すかもしれない本、愛読している作家の本がまだあって、あまり風景が変わらない。どうしたものやら。

 震災の後、棚から落ちてきた本に頭を打ってはたまらんと思い、300冊ほど処分した。そのときは本の価値が分からないヤツに安値を付けられるのが腹立たしく、弔う気分で捨ててしまった。だが、自分がそうだったように世間のどこかで自分の古本を探している人がいるかもしれない。思い直して、ブックオフに買い取りを申し込むことにした。ミカン箱3つで、1万円にもなればいいのだが。大量に本を出す旨を伝えに、マンションの管理人さんのところへ。次の理事会で何を議題にするかを相談し、意見を求める。本当にいい人で、話していると本当にほのぼのする。

 以後、虎の子の廃棄してもいい時期になった伝票類のホチキスの針を外すのに2時間あまり。指先がジワジワ痛ーくなった。


11月16日(水) ボジョレー解禁前に酔っぱらう

 曇って14℃。  

 朝イチで、分厚いカタログの校正チェック戻しがあり、3時間かけて対応することに。消費者庁が決めたガイドラインに基づいて合理的な根拠の強調表現とか、誤解を招きやすい表現をチェックしたのを校正マンから指示してくるのだが、割り切れないケースもある。たとえば「最高」を、No.1という意味で使えばその根拠を示さないといけない。だが、この肉は煮込むと最高に旨い、という表現は単なる強調表現で、焼くより美味いとする根拠はないではないか、などと四の五の言われる筋合いではない。が、近ごろの消費者はワケが分からないので、クライアントは修正を求める。頭は使わないが、ちょっとだけ面倒くさい。

 午後3時、渋谷へ。長く仕事をやっていたカメラマンとカフェでよもやま話。こちらが今後の仕事についてやりたいことがあるので、某プロダクションとの付き合いはフェードアウトする、新規の仕事は受けない旨を伝える。多少驚かれたが、お互いあと仕事ができて10年なので、ストレスがない方がいいよなと理解してもらえ、安堵する。超わがままな某プロダクション社長は怒るか、それともこちらを宥めにかかるか。仕事をしない自由はこちらにあるが、迷惑をかけるのも事実なわけで、きれいに別れられることを願うばかりである。

 いったん自宅に戻り、虎の子へ。本日は12時を廻るとボージョレヌーボーの解禁で、カウンターには樽がドンと乗っかっていた。8時前だというのに、庭師のO君がベロベロで、一体何時から飲んでいたのやら。その後、三々五々ご常連さんやら、顔なじみさんがいらっしゃり、世間話の花が咲いて盛り上がる。スーパームーンが特別養護老人ホームで働いているRさんから、人生を長く生きてきた入院患者さん同士の映画のような素敵な会話を聞かせてもらい、ずいぶん笑わせてもらった。

 12時前に帰宅。4時間の飲酒は今の自分には長すぎるらしく、背中がちょっと痛い。

 
11月23日(水) 新宿花園神社は集会所なのか

 日中は晴れて穏やか、のち曇って14℃。  

 朝からパンフレットの原稿書き。小さな修正指示に対応して何度も書き直すうちに訳が分からないことになり、思いの他、手間がかかってしまった。途中、仕事に飽きて自然エネルギー関係の本を読んでいると、友人の名前を発見。連絡が途絶していた30代に、そんなことをやっていたとは。ずいぶん違う10年間を過ごしていたものだ。啄木じゃないけど、友人がとても偉く思えてくる。

 昨日の日経新聞の夕刊に、蔵原伸二郎という詩人の「狐」という詩が紹介されていた。読んだ瞬間、目の前に晩秋の薄の原っぱが広がり、口を開けて走る狐の姿が浮かんだ。自分ものにはできないけれど、せめてその一部でも自分のものにしたく、仕事にかまけて鉛筆で書き写すことにする。こんなふうに文章が書けたらいいのに。

  狐    蔵原伸二郎

 狐は知っている
 この日当たりのいい枯野に
 自分が一人しかいないのを
 それ故に自分が野原の一部分であり 全体であるのを
 風になることも枯草になることも
 そうしてひとすじの光にさえなることも
 狐いろした枯野の中で
 まるであるかないかの
 影のような存在であることも知っている
 まるで風のように走ることも
 光よりも早く走ることもしっている
 それ故にじぶんの姿は誰れにも見えないのだと思っている
 見えないものが考えながら走っている
 考えだけが走っている
 いつのまにか枯野に昼の月が出ていた。

 本日は二の酉ということで、店と自宅のお札を返しに夜中12時、ツマと待ち合わせて新宿の花園神社に向かう。今年は祝日のためか、境内は20代の若者で溢れていた。柄の悪そうな男ども女どもが多く、暴走族の集会に来たかのよう。毎年酔っている店は席が取れず、やがて雨も降り出した。同じように店に入れない連中は、かがんで焼きそばやお好み焼きなんぞを食べている。情緒は皆無である。寿司屋はネタが少ないとのことで入るのをあきらめ、ずいぶん前に寄ったもつ鍋屋に行くことに。前はそれなりに美味かったのだが、今回はなんだかなぁの味。むなしい二の酉になってしまった。

 帰りがけ、新宿の高速バスターミナルをちょっとだけ覗いて歩いて帰宅する。明け方近くに雪になるとテレビでは言っていたが、寒さは感じられない。降るなら、どーんと降らんかい。


11月28日(月) iPhoneを買い替える

 曇って14℃。温かいなぁ。  

 スマホはずっとiPhoneを使っている。動画もゲームもほとんど利用せず、おかげで 1GBも使わずに翌月に持ち越すことがほとんどで、なんだかもったいない。で、あるときauのホームページを見ていたら1GBという契約があることを発見。これはいいや、と軽々しく契約を変えたのが4ヶ月前。で、その翌月に届いた請求書を見て、驚いた。電話料金がどれだけ下がっているのかと楽しみに開いたところ、それ以前より3000円近くも高いなっているではないか。一体全体、どうして? よーく契約書をチェックしてみると「毎月割」という項目が、消えていた。へなへな。やってもーた。1GBの契約は「毎月割」の対象外なっているのである…。たしかにホームページで契約変更をするときに、注意はあった。が、深ーく考えてはいなかったのである。せめて料金がいくら高くなると書いていてくれればいいものを。うー。泣きたい。あまりの自分のバカさ加減に腹が立ち、ツマにもそのことを伝えられなかった(まあ、2850円なんだけど)。で、これはいかん、契約を見直さなくちゃと思っていた折、下取りキャンペーンがやっていることを知り、機種代金を残り一括で払い、買い替えることにしたのである。

 新しいiPhoneを受け取りに新宿まで出かけたのが、本日14時。平日の昼間ということもあって、ショップはガラガラ。シーンとしているのだが、自分より後に入ってきた男性が女性定員に向かって、大声で苦情を言っている。「iPadのバッテリーがすぐに切れるので交換したが、2、3日するとまた切れる。修理に出せば、メモリーに入れている写真が消えてしまう。それは困る。どうすればいいのだ。店員の勧めでバッテリーを交換をしたのに。客のことを考えていないのか」とかなんとか。で、店員は「端末のことは詳しく分かりませんが、バックアップを取ればいいのでは」というと、男性はヒートアップ。「それではメモリーに入れた写真が消える。メモリーから消さずに直したいのだ」と無理難題を言い、堂々巡りになった。これはアカンと思った店員がお客様センターあたりに電話をかけて、携帯を渡してその場を離れた。しょうがねーな。こちらまで頭の固いジイさんに腹が立ってきた。こちらはの契約は面倒くさいなりにスムーズに進み、40分ほどで終了。が、くだんの男性はまだ携帯を握りしめ、「オタクの説明でよーくわかった。さっきも言ったけど、大切な写真を仲間と一緒に見たくてさ。そういう気持ちは分かるでしょ。もう一度言うけど、お客さんの立場でモノを開発しないと」などとやっている。お客様センター勤めは到底自分にはできないだろうなと思いつつ、店を出た。ヨドバシカメラでケースと保護フィルムを購入して帰宅すると、だいぶ陽が傾いていた。設定は特段トラブルなし。6Sと比べると7は気持ち写真がきれいになり、音がよくなった感じ。あと、トップ画面を立ち上げた際のモーションがおしゃれになった。これで仕事が増えればいいのだが、スマホにそんな御利益はない。

 夜中まで調べものいろいろ。食べ物系の本を処分したばかりなのに、別の代理店から新規の食べ物系の仕事が入ってしまった。ちなみに、先日Net Offに119冊を買い取らせたが、総額3,240円の見積もりがメールで届いた。本の価値が分からないなら、本を売るな。ばっかやろー。