6月1日(水) 朝8時に都心に立つ

 日本晴れ、26℃。蒸し暑くなってまいりました。

 朝6時起き、7時前の電車に乗って、まだ人通りの少ない都心へ。企業ブランディングの仕事のため、下調べを兼ねてクライアント某社社員を8時から取材する。サービス業のため、通常業務に影響が出ないようにしてほしいとの要望があったためだが、こんな条件を付けられたのは初めて。世の中はいろいろ広い。

 2時間、みっちり取材。課題がいろいろ見つかり、改善しなければいけないことはたっぷりありそうだ。その後、ディレクター氏と車で移動。神谷町で1時間ほど打ち合わせし、今後のプロジェクトの進め方を確認する。途中、別の代理店のプロデューサー氏から何度か電話があったのだが、こちらが掛けるとつながらない。地下鉄に乗ることもなぜかためらわれ、もう一度電話が来るまで歩くことにする。が、いつまで待っても掛かって来ず、溜池山王まで歩いてしまった。初めて歩いた城山ヒルズの裏手は緑が鬱蒼としていて、夜一人で歩くにはためらってしまいそうだ。おそるべし、港区。

 正午過ぎ、帰宅。以後、夜中まで仕事をする……つもりだったが、睡魔に勝てず。途中、昼寝して復活。虎の子のホームページをいじくっているうちに、プチトラブル。無駄な時間を過ごしてしまう。あー、もったいないこと。


6月3日(金) 若冲展で倒れる人が続出したらしい

 快晴、24℃。乾いた風が気持ちいい。

 予定では急ぎの対応をしなくてはいけない仕事が、なぜか放ったらかしで連絡なし。納品スケジュールを考えるとぼんやりしていられないが、しょうがない。梅雨前の貴重な晴れだし、という理由を自分でつけて、5年ぶりに先輩元ADと虎の子で飲むことにした。

 先輩とは30年以上の付き合いで、会社勤め時代から仕事でお世話になってきた。引退して2年経って、今は何もしておらず、似たり寄ったりの皆さんとボランティア活動で荒れ放題だった近所の山の手入れや、自治会のポスターのデザインなどをさせられていると笑っていた。それまではおつきあいが一切なかった畑違いの方々と一つのことをするのは発見が多いそうで、強がりでも何でもなく、心から楽しそうだった。

 先だっては東京都美術館で開かれていた奥さんと若冲展に行ってきたそうだが、行かなくて正解だったよとのこと。何しろ、建物の中に入るのに3時間、中に入ってからも1時間、その間にあちらこちらで倒れる人が続出したらしい。それでいて、作品は人人人の頭の間から30分しか見て回ることができない。図版を買うのにも長蛇の列になっていて、結局諦めたとか。「直前にNHKが番組をやるものだから、余計に込んでしまった」とずーっとブツブツ。辛うじてジジババの頭の間から見た群鶏図や象の絵が素晴らしく、それだけは良かったとか。あまりの超絶技法のため弟子をとらず、その後も似た画風の日本人はいない(ような気がします)。死ぬ前に俵屋宗達と若冲だけは見ておきたいものだな。いつになるか分からないし、3時間も4時間も立っていられる体力があればの話だが。

 まだまだ話したいことがあったが、3時間も話してしまい、すっかり喉が痛くなる。9時すぎに店を出て、新宿まで出るという先輩と分かれることにした。以後、夜中まで撮りだめしておいたテレビ番組とDVDを見て、早めにベッド。明日は働かないとな。


6月10日(金) 寝不足4連チャンはつらいよ

 快晴、28℃。梅雨はどこへ行ったやら。

 今週は激イソガシ一週間でありました。火曜日はブランディングの仕事のためAクライアント企業を早朝8時に訪問。いったん帰宅し、午後3時からB不動産デベロッパーを取材し、仕入れたばかりのネタを元に24ページのパンフレット、webサイトコンテンツを書き始めた。睡眠5時間。水曜日には午後3時、A案件のオーナーを取材。帰宅してから朝5時までかかってB案件のパンフレット用に原稿書き。睡眠2時間半。木曜日は朝8時から仕事を再開し、途中2時間だけC案件のキャッチフレーズを作る。11時からB案件の原稿書きを再開し、夕方6時までかかってすべて書き上げた(つもりだった)。安堵して15分睡眠。が、電話がかかってきて、抜け落ちたページがあることを指摘される。なんとか夕方8時までに送った後、D案件のPR誌文字校正を2時間。夜11時過ぎにメールして、これでやっと酒が飲めると思ったら、ディレクター氏からB案件のwebコンテンツを2つ追加された。疲れすぎて、怒る気力もない。3時まで仕事をしたものの、たまらずベッドに倒れ込む。睡眠3時間。金曜日は朝7時から作業を再開すると、10分もしないうちに原稿はまだですかの督促電話。はいはいと聞き流し、8時半にすべて送信する。ふー。電話でB案件の校正をデザイナーに伝え、午後からはA案件の原稿書きと火曜日に伺ったオーナー取材のテープ起こしをし、夜9時にすべて終了する。

 幡ヶ谷の馴染の居酒屋で独りぼんやり1時間過ごした後、虎の子へ。本日は大常連N様の還暦記念パーティということで、大入り満員。皆さんでお金を出しあってプレゼントした紅いアロハシャツ、Nさんには大変喜んでいただいた。めでたし。10時過ぎにはY子ちゃんのフラメンコショーがあったりして、盛り上がりまくる。こちらは疲れ果ててはいたものの、ワーキングハイというヤツなのか、どれだけ酒を飲んでも酔っぱらわなかった。皆さんがお帰りになったのが、2時からそこいら。後片づけが終わった時は5時になっていた。爽かな空気を吸い、電車で帰宅した。

 今日はNさんの還暦記念だったが、こちらとてあと2年で60歳だ。その時も今週みたいな生活をしているのだろうか。そうだったとしたら、嫌だなぁ。


6月11日(土) 体の芯の疲れが取れない

 晴れて29℃。

 昨日の大盛り上がりと寝不足のダブルパンチで、珍しく昼まで寝たものの、疲れが体の芯から抜け切らず、すっきりしない。午後、不動産広告とブランディングの企画書をまとめるが、今ひとつ。まったく調子が上がらない。

 休日のツマは店の常連さんの芝居を観に行き、こらちはなんだかんだで夜7時過ぎまで仕事。その後2人で新宿のヨドバシカメラに出かけて小さな用事を済ませ、取って返して代々木上原へ。昨日ピアノを演奏してくれたI子さんが搬出に来てくれるのを、駅ビルの居酒屋で酒を飲みながら待つことにする。

 店は海の家のような佇まいで、やたら安いメニューがあったり、ほんのちょっとだけこだわりの品があったり。大入りではないけれど、それなりに大人のお客さんで賑わっていた。駅の改札口まで100mというのは、やっぱり強いなぁ。10時半、お勘定してもらい、寄り道せず帰宅する。大して飲んでいなかったが、明日は日曜日だというのに夜から長時間の撮影に立ち合わなくてならないため、早めに寝ることにする。あー、働いていないけど、疲れたなぁ。 


6月14日(火) 頭が混乱する

 快晴、26℃。北海道の夏のように爽かだけど、いいんだろうか。梅雨なのに。

 朝イチから先週末にプレゼンした不動産広告Aの修正対応と、今週金曜日にプレゼン予定の不動産広告Bの原稿書きに大わらわ。エリアも価格帯も違うのだが、最寄り駅からともに徒歩1分、大ターミナル駅まで電車で直通3分、Aは港、Bは川まで徒歩10分と15分と条件が似ているところがあり、電話がかかってきたり、メールで資料を受け取ったりするうちに、どっちの原稿を書いていたのか、頭が混乱した。いかん、いかん。結局、両方の原稿書きが上がったのが夜9時、珍しく早く終わったと思ったら、10時にBのディレクター氏から電話で追加修正を求められた。「文学的にしろ」だの、「これでは高尚すぎる」だのと小うるさく言われ、赤挙げて、白挙げてじゃねーっていうの。

 何はともあれ1時過ぎに原稿をメールし、本日の業務は終了。2時までビールを飲んで、バッタンキュー。


6月18日(土) 1日に2度経堂へ行く

 晴れて、33℃。アジジジジ。

 仕事がひと段落。いつもなら深夜にメールが入っているのだが、午後になっても音沙汰がない。お、そうなの? 休んでいいわけ? じゃ、休んじゃうよ、ビール飲んじゃうよ。と、夕方前から気もそぞろになる。

 いろいろ考えたが、明るいうちからビールを飲みたくて、元アルバイトのSちゃんがやっている経堂の「のびしろ」に行くことにする。何年ぶりだろうな。ビール、ビール、とにかくビールと念仏を唱えて店に行くが、あーれー、看板が出ていない。カーテンを下ろしたままになっている。ドアに張られているカレンダーを見れば営業日である。はてな、臨時休業か? ケータイでご本人を呼ぶも、出ない。ビールの夢が注がれる前に、泡と消えてしまった(我ながら、上手く言えました)。が、駅まで戻り、ホームで電車を待っていたら、Sちゃんから電話が掛かってきた。何やら長電話をしていたらしいのだが、ここまで来て店に向かうのは面倒くさい。またの機会に伺う旨を伝えて、下北沢に向かう。

 ネットで見つけて気になっていた焼鳥屋は若者向きの構えで入るのが躊躇われ、友人がやっている居酒屋「路次」に向かうと、「本日は7時ごろに開店します」という張り紙が。まあ、それぐらいなら時間を潰そうと思って馴染のスナックに顔を出すつもりが、ここも営業前らしく、看板が出ていない。結局ぶらぶら歩くだけで7時になってしまった。喉がカラカラになったが、ビールを飲むにはこれぐらいでもいい。さあ、飲むぞ飲むぞと意気込んでいまだ暖簾が出ていない店のドアを開けると、店主のJさんが「ありゃ、今日は9時半まで団体さんの予約が入っていて……」と困惑されてしまった。なんだよ。それなら本日貸切とはっきり書いておいてくれよ。ここまで店に振られる日も珍しい。しょうがないので、結局、本日2度目の経堂に向かうことにする。

 カウンターでは虎の子の常連でもあるKさんが到着したばかり。こちらは何はともあれビールを飲みたく、早速注文し、喉をやーーーっと潤すことができた。あー、長かった。Kさんとあれやこれや他愛のない話で盛り上がり、おすすめの水のように爽やかな日本酒も楽しめた。また、だんなさんのAさんの顔を見ることもできた。2時間ほど心地よく飲んでお勘定してもらう。

 虎の子に寄ると店を早じまいするとのことで、10時半過ぎにツマと近所のビストロに寄ることにする。ワインに前菜を2品、パスタを2人で1品。どれも何度か口にしたことがあるのだが、今週初めに一流どころのフレンチを10品ほど試食する仕事があったため、どうしても点数が辛くなる。ビストロとレストランは違うことは分かっていても、インパクトが今ひとつ。ビストロには悪いが、プロの料理人の凄さを改めて知ることになった。

 12時前に帰宅。それほどの酒量ではなかったが、暑さが残る時間帯に歩き疲れたせい
か、ほどなく眠ったもよう。でも、まあ、いい休日になりました。


6月24日(金) イギリスに世界が呆れる

  曇って、26℃。九州や西日本は大雨だというのになぁ。

 イギリスでEU離脱を巡る国民投票が行われ、テレビの前を行ったり来たり。午前中は残留の人が若干上回っていたが、昼ぐらいに拮抗、やがて離脱の人が上回ると、逆転することがなかった。株式市場も予想外の結果だったらしく、大きく値を下げた。トランプみたいなホラ吹きが大統領候補になってしまうアメリカもどうかしているが、イギリスも大差がないヨーロッパの仕事も株もやっていないけれど、余波は巡り巡って間違いなくやって来る。リーマンショックのようなことが再び起きないことを祈るばかり。それにしても、イギリスはバカな選択をしてくれたものだ。

 朝イチから原稿の修正依頼が多々。夜11 時過ぎても電話でやりとりがあり、終わったのが1時。それからレンタルしっぱなしの「好色一代男」という市川雷蔵主演の映画を見て、焼酎を飲む。原作は井原西鶴で、この映画は昭和36年の作品。この頃は日本映画の最盛期で、世の中の俊英が業界に集まっていたのだろう。ストーリーはテンポよく、俳優・女優の演技も素晴らしい。中村雁治郎(玉緒さんの父親)のセリフ回しの見事なこと、若尾文子の妖艶なこと、市川雷蔵の見事な女たらしっぷり、すごいなあと思う。それでいて、最後は店を潰しにかかった侍をオシリぺんぺんとあざ笑うとは、まあ、完成度が高い。

 雨が降らないものの、どんよりした気分が続いていたが、ちょっとだけ気分が晴れた。