1月1日(祝) 富士山を拝む

 快晴、12℃。

 箱根仙石原のホテルにて、年越し。都内は14℃もあり、大晦日という感じではなかったが、箱根は夜中に零度。なんとか、冬の気分を味わえた。ホテルは5組しか泊まれない小さな宿で、温泉も小さかったが、料理は品数が多く、2人揃って残す始末。味は和風フレンチというか、フレンチ風和食というか、微妙な味ながら、地元の根菜類がすこぶる美味だった。クリームやバターは余り使っていないので胃に優しく、それもありがたかった。洋風の年越し蕎麦を食べる。

 元日も快晴。朝はずいぶん冷え込んだが、風がなく、春のような。温泉に入った後、朝食。雑煮にお節風の八寸など、ゆっくりいただき。ちょっと凝った家庭料理の感じで、大満足。料理自慢の親戚の家を訪ねたかのようで寛げる。10時過ぎにチェックアウトし、そのまま帰るのもつまらないので、近所のラリック美術館をブラブラ。期待していなかったが、じつにちゃんとした美術館で、建物も作品展示も見事。ジャポニズムの影響を受けた作品の数々は、正倉院に飾られていてもおかしくないほど、和のニュアンスが感じられた。

 12時過ぎの高速バスで新宿へ。夕方からは早めに食事を取り、だらだらとテレビを見ながら過ごす。年末の疲れがまだ取れず、ソファにうとうとしているとツマに怒鳴られた。てから動きが鈍くなり、忙しい日々が復活したのは11月半ばからだった。虎の子は常連さんに加え、新しいお客様も増え、ボチボチだったらしい。少しだけ明るいものが見えてきた2015年。さて、2016年はどんな年になることやら。


1月2日(土) 初詣でで日本の将来を考える

 晴れときどき曇り、13℃。

 朝イチ、山手通りをジョギング。風がなく、日差しは桜の開花時期のよう。ゆっくり走り、じんわり汗がかけた。雑煮を食べ、年賀状の整理。けっこう出し忘れがあることに気づき、慌てて追加印刷。夕方、代々木八幡宮に初詣で。4時半に着いたときは、階段下まで人の波が続いていた。前列の40才過ぎの男性がおそらく義理の父親と並んでいたのだが、参拝前だというのにビールをグビグビやっていた。おいおい、これから願いごとをする神様にそれは失礼だろ。はたまた、その前列のジジババ夫妻はスマホの写真取りがうまくいかず、前列の若者が教えてもらうと、今度は前が空いてもシャッターを切り続ける。イライラしてこちらが前に行くと、オババが「抜かされた、抜かされた」とブツブツ。あのね、抜いたところで1列でしょ。それに前が1m以上空いているのに進まない、あなたたちが悪いでしょ。感じわるいなぁ。長い待ち時間は、脇に張られた小学生の習字を眺めて過ごすのが恒例。今年もだけど、奇妙、珍妙な子供たちの名前の多いこと、多いこと。音の半分だけ取って、意味を無理矢理押し込みました風のものが多く、気の毒になる。不憫だなぁ。

 1時間あまりでやっと初詣で終了。体がすっかり冷えたので、代々木八幡駅前の大衆居酒屋へ。熱燗で体を温め、小一時間でお勘定してもらう。帰宅後、年末に取り寄せをしていた水炊きセットで夕食。そんなに酒を飲んでいるわけでもないが、疲れが体の底から染み出してくるようで、10時過ぎ就寝。


1月5日(火) 御用伺い初め

 快晴、16℃。こんなのでいいんかい。

 昼過ぎ、芝のクライアントにて打ち合わせ。仕事は3日から始めていたけれど、クライアントを訪ねるのは今日が新年初。仕事納めにもらった宿題を解決したプレゼンだったため、ひどく機嫌がよく、気持ち悪いほど。まあ、これで決まれば文句はないんだけどさ。1時間半で終了。ディレクターと近所の喫茶店でフォローの打ち合わせし、他の案件もあれやこれやと話し、代々木に戻る。以後、夜まで仕事。

 年末年始の寝だめが効いていて、夜になっても目が冴えてしょうがない。


1月8日(金) 東北沢まで懐かしい顔に会いにゆく

 晴れて11℃。

 午前中は不動産関係PR誌の修正ちょこちょこ。午後は新宿のクライアントで打ち合わせを1時間半。11年もやっている個人株主向けの冊子だが、今回はこれといって大きな施策がなかったにもかかわらず業績好調とのこと。そうなると、紙面を埋めるネタが足らない。面白い話も聞かせていただいたが、「それは中間でやりましょう」と釘を刺されてしまう。どうしたものやら。同行プロデューサー氏も頭を抱えてしまった。伊勢丹の地下を一巡りしたが、食指が引かれるものがなく、手ぶらで帰宅

 7時過ぎ、急ぎの仕事がなかったので、久しぶりに四谷荒木町の馴染みのバーへ。年末伺えなかったことの詫びかたがた、ママさんと気楽な会話をしようと思ったのだが、こちらが店に入った直後に80歳ぐらいのおじいちゃんが入り、話しそびれてしまった。その後、常連さんが続々。居場所がなくなってしまった。乾き物を食べて焼酎3杯飲んだところで、お勘定してもらう。時計はまだ9時半。いくら何でも、帰るには早過ぎる。昔、下北沢の八峰でアルバイトをしていたNちゃんが東北沢に店を出したことを思い出し、向かうことに。小さな居酒屋だが、10数年も見てきた顔が前にあるだけでも酒が美味い。焼き鳥をつまんで、ハイボールを少々。昔の店のオーナー夫妻や、東北沢の噂話をしているうちに、あっという間に11時。これ以上飲んでは帰りが心配である。で、勘定してもらったまでは良かったが、ついフラフラと虎の子へ寄ってしまう。お一人だったH先生にご挨拶したところまでは辛うじて覚えているが、以下、記憶がプッツン。気づけば、セーターを着たままベッドの中にいた。

 まあ、こういう日もたまにはいいか。


1月9日(土) 大カメラマンの訃報に接する

 快晴、11℃。

 昨日の酒が残り、やっと抜けたのが午後3時。それからお中元のカタログ用の原稿を書く。ようやくペースが上がってきたと思ったら、昔の会社の同僚で、今はデザイナー業を辞めた先輩から携帯に電話があった。業界では誰もが知っているカメラマンで、昔はよく仕事をご一緒させていただいたMさんが亡くなったとの。頭の中が真っ白になる。風の便りでは、ここ数年病気がちで年賀状も来なくなっていたが、まさか亡くなるとは。

 Mさんとは28歳のときに三宅島へロケに行ったのが初めてで、30代はミラノやパリをそれぞれ1カ月近くも取材して回った。下町っ子で喧嘩っぱやく、ものすごくおしゃべりな人なのだが、写真はセンチメンタルでナイーブ。職種は違うながら、憧れの先輩だった。ツマと結婚するときも祝ってくれ、虎の子にもオネエちゃんとデートした帰りにたびたび来ていただいた。そこにいるだけで、座が明るくなる人だったけど、病気には勝てなかったらしい。残念で、哀しい。

 昔のことを思い出して以後、仕事に手が付かず。12時過ぎに酒を飲み始めるが、なんだか酔えなかった。なんだか寂しい正月だなぁ。


1月13日(水) ほぼ徹夜してしまう

 快晴、9℃。寒ーい。

 小さな仕事をいろいろ。午後、先輩からMさんのお通夜の時間を間違っていたとの連絡。16時と聞いていて、ずいぶん早いお通夜があるんだなぐらいに思っていたら、夕方6時の間違いだった。ムッとするより、&の方が大きかった。

 4時半すぎ、1時間かかって本八幡へ。その最中、明日朝までに不動産広告のキャンペーンフレーズ修正案がほしいとのメール。がーん。不謹慎ながら、お通夜で久しぶりに会う人たちと一杯飲むのを楽しみにしていたのに。駅で先輩に声をかけられ、一緒にタクシーで斎場に向かう。業界の有名人ではあるが、それ以上にMさんの人柄なのだろう、弔問客は会場に入れないほどたくさんいた。式は非常に淡々。お焼香し、手を合わせたものの、実感わかず。仕事を控えていたため精進落としは失礼するつもりだったが、ビール2杯だけ口にする。Mさん、大きな手術を2回受け、最後は記憶障害となって、ずいぶん昔ロケに遅れたことをその日のことと混濁、昨年秋にお詫びの電話をディレクター氏にかけてきたとか。最後まで仕事をしていたかと思うと、切なくなる。九州から来てくれた人、15年ぶりに会う人もいたが、ほぼ話ができず。Mさんと最後のお別れをして、会場を後にする。

 9時すぎに自宅に戻り、気分を切り替えて仕事を再開。なんとか修正原稿を2時に上げたが、10分後にはAD氏よりダメ出しをもらう。こんなときに限ってファンヒーターが不調。寒さに凍えながら、第2稿を上げたのが5時半。が、眠いはずなのに、目が冴え過ぎて睡魔が襲ってこない。足が冷た過ぎて、ふとんに入れた湯たんぽも効果なし。結局、ほぼ眠られぬまま8時半に起床してしまう。

 いいトシこいて、こういう生活をしていていいのか。それとも仕事があることを喜ぶべきなのか。正月から2週間足らずというのに、悩ましいなぁ。


1月14日(木) 疲れ過ぎて酔えない

 快晴、11℃。

 9時過ぎ、不動産広告をやっているディレクター氏からメールがあったが、シャワー中で気づかず。チェックすると、参考までにとクライアント自身がPR誌に掲載した広告が転送されていた。あまりにすっからかんの内容で、膝から崩れそうになる。本当に、それでいいわけ? さんざん難しいことを言っていたのに、それを言いたかったわけ? 連絡が取れたディレクター氏と電話で話し、今日のプレゼンにど真ん中の追加案を用意することで話がまとまった。

 4時過ぎ、常磐線某駅にて待ち合わせ。ディレクター氏、一昨日までフィリピンまでギャンブルためだけに出かけ、戻った翌日から徹夜だったとのこと。なんと不健康な。クライアントの本社で行われるプレゼンに前はディレクター氏に「何を言われても怒らないように」と釘を刺されて臨んだが、拍子抜けするぐらいすんなり話が進んだ。なーだと思っていたら、担当部長が1時間後ぐらいに登場。いやーな雰囲気を全身から醸し出していたが、一つひとつ繙いていくと、恐れるほどでもなかった。打ち合わせが全部終わったのが、なんだかんだで2時間後。あー、疲れた。時計を見たら、6時過ぎ。夕飯をすませてもう一仕事とも思ったが、さすがに頭が回らないので、虎の子に向かうことにする。平日の7時台に行くのは、どれぐらいぶりだろう。

 ご常連のYさんがカウンターにいたので、お相手してもらいながら日本酒やら、ハイボールやら。ご本人は正月早々30年ぶりに腎臓結石で苦しみ、似たように七転八倒したご常連さんの俳優さんと石の兄弟の契りを結んだとのこと。周りにも案外いるんじゃないの、そしたら石の三兄弟だとか言うので、あー、オレもですと言うと、ひっくり返りそうになっていた。なんで、奥さんが知らないのだと。いや、伝えたけれど覚えていないだけでして。5年前、人知れず異常な頻尿に悩んでいて、膀胱だの前立腺だのが壊れちゃったかと思っていた時期があったが、あるときトイレにポチョンと石が落ち、頻尿が治まったのである。それをYさんに言うとずいぶん悔しがっていたが、まあ、長い人生、その程度の幸運は許していただきたい。

 Yさんがお帰りの後、アルバイトのY子さんとスポーツクラブの話でちょっとだけ盛り上がる。結局、10時過ぎまで店で楽しく酒を飲んだのだが、目はシバシバするものの、眠気が襲ってこない。とはいえ、ガクンと来てもいけないので10時半に店を出る。あまり眠くはなかったが、明日もいろいろ仕事が詰まっていることを考え、12時過ぎに就寝。あー、疲れたびー。


1月20日(水) 新宿御苑前から歩いて帰る

 快晴、9℃。

 午前中、広報誌のリライト。調子がよく、いつもは5時間ほどかかる作業が3時間でほぼ完了した。昼前、新宿御苑前へ。2日前に降った雪が道のところどころに残っていて、日差しがあるものの風が冷たい。クライアントの担当の方、何年も前から知っているが、年が7つ下だと初めて知る。ちょっと見には40代前半で、ファッションも若い。趣味でしょっちゅうフットサルをされているそうだが、そのせいなのだろうか。それに比べてこちらはゴムアレルギーを発症して以来、走ることさえ怖くなっている。走りたいなぁ、まったく。

 打ち合わせ1時間、なんということなく終了。そのまますんなりいけそうだが、なんだかんだとチェックを入れてくるので腹の中が読めないが。本当は続いてもう一本打ち合わせがあったが、こちらは参加しなくてもよいことに。思うところがあったが、まあいいか。昼飯がまだだったので、新宿の回転寿司で6皿ほど食べる。南口まで来たら甲州街道がキラキラと輝き、なんだかおいでおいでをされているよう。時間があったので、そのまま自宅まで歩いて帰ることにする。スマホを見ると6300歩だった。うーん、これだけ歩いてもまだ1万歩に足らないか。


1月29日(金) 同窓会で喉が痛くなる

 雨降って、9℃。

 昼過ぎから、虎ノ門の某社採用サイトのため社員4名インタビュー。24歳から40代後半まで、面白い話がいろいろ聞けた。皆さん、実にしっかりしていて、知識をひけらかすわけでもなく、愛想よすぎることもなく、淡々と話してくれる。選抜されて起用されるのだから当然といえば当然だが、頭も性格も良くて、素晴らしい。なんだか、自分まで一緒に働きたくなってしまった。

 雪になるかもという天気予報だったが、ずっと雨のまま。銀座の伊東屋で時間を潰してから、7時前に東京駅の銀の鈴へ。高校の同級生が上京するというので、懐かしい仲間が5人集まる。店の予約をしなかったため、いろいろ探すがどこも入れず、結局、八重洲口の山内農場というチェーン店に入る。働いているホール係は中国人やら、ミャンマー人やらで、笑顔が皆無。口で伝えようとするとタッチパネルを使えとのこと。が、そのタッチパネルが実に分かりづらい。加えて、刺し身の盛りつけはいい加減、味つけもしょうもなかったが、まあ、今夜のところは元気な顔が見られただけでよかった。自然エネルギー会社の社長、薬品会社の部長、銀行員、信販会社の支店長と多士済々。社長とこちらを除けば、皆、定年が近く、どうしようかと悩んでいた。ずっと働かなくていけない身としては定年があるのが羨ましいぐらいだが、そんなこたぁないと強く否定されてしまう。

 2時間の貸し切りだったもので、埼玉の奥に帰る1人を除いて4人で再びウロウロ。タイミングよく焼鳥屋で蕎麦も食べられる店を見つけて入る。値段も安く、味もうまい、駅からも近い。探せばあるんだなぁ、こんなところが。11時過ぎまでいたのだが、昼間からずっと話しっぱなしで、加えて喫煙者が2人いたため、喉がヒリヒリ。まだ飲み足らなさそうだったが、駅で別れる。そのまま帰るつもりだったが、半年あまりご無沙汰していた南新宿のバーに寄り、1時間半ほどウイスキーをちびちび。40代のお客さんと、アレルギーやら、スーパー銭湯でうつされたなんとか菌の話で盛り上がり、1時半まで飲んでしまう。いかんなぁ。


1月30日(土) 千歳烏山で舌鼓をポンと打つ

 あられ、5℃。

 朝からテープ起こし。ペースが上がらず。6時半、2週間ぶりに休んだツマと、ネットでたまたま見つけた千歳烏山の和食店へ向かう。千歳烏山は経堂を、ひと周り小さくしたような町。チェーン店ではない飲み屋がいっぱいで、なかなか楽しい。伺った店は40代前半の若いご主人が1人で切り盛りされているのだが、器も盛りつけもきれい。魚もいいものを使っていて、実に旨い。こんな店が近所にあったら、いいのになぁ。が、たまたま隣に座ったカップルの女性の香水がきつく、ツマがブツブツブツブツ。こちらまで落ち着かなくなり、2時間でお勘定してもらう。それはそれとして、ここはまた来ようっと。あー、楽しかった。

 東北沢へ移動。元・下北沢八峰のNちゃんがやっている居酒屋に寄る。味はそこそこだが、Nちゃんの顔が見られたらそれでいい。お会計した後、30分も帰らない隣のオバサン客の声がうるさく、1時間ほどで退散する。あー、昨日今日と、ずいぶん飲んじゃったなぁ。