9月5日(土) ドイツのような、イタリアのような、フランスかもしれない料理を食べる

 曇って、少しムシムシ。29℃。


 このところ6時間睡眠が続いている。仕事は忙しくないが、頭の隅に引っかかる案件があり、心が晴れないせいだろう。9時起床、今月末に地方取材に同行する料理店スタッフからスマホに着信履歴が2件入っていた。昨夜取材先にOKをいただいたばかりだったので、気持ちがざわついたが、ご本人に確認すると、ポケットに入れておいたのが何かの弾みでボタンが押されたもよう。焦ったー。

11時過ぎ、2週間ぶりにいつものコースをジョギング。幾分湿度が高いが、すっかり秋の風が吹き、蝉の声も聞こえず。1時間弱で帰宅する。午後、みっちりお仕事。夕方から山形のある伝統野菜について、調べ物を数時間。あの手、この手でネットや本を探すが、これといった大ネタがなく、話が膨らまない。うーむ。どうしたもんだか。夕方、どうにも眠くなったベッドに入ると、2分もたたずインタホンが鳴り、宅配便のお兄さんに起こされる。でも、わずかな時間でも少し頭がすっきりし、仕事続行する。

 10時過ぎ、虎の子へ。お客さんはすでにお帰りのようなので、ビール、日本酒を1杯飲んで、どこに行こうか考える。が、腹が空いているわけでもないし、お好み焼き、たこ焼き、串揚げの類いは好きではない。和食がいいけど時間が11時半を回っているので、たいがいはラストオーダーの時間が過ぎている。困った、困った。やっと1つ思い浮かんだのが、とあるドイツ料理なんだかイタリア料理なんがフランス料理なんだか分からないビストロで、電話を掛けるとOKとのこと。珍しくツマが歩くというので、深夜の町をあっちへふらふら、こっちへふらふらしながら20分ほど歩く。

 白ワインをボトルで入れ、自家製ソーセージと野菜のグリルなどを注文。どうでもいい話をしながら、1時間あまり過ごす。ソーセージ、旨いんだけど、切り口がスパッとキレないところは少しイライラ。グリルは野菜に力があってよろしい。ゴーヤが苦くて、目が醒める。コンビニに寄って1時半帰宅。


9月10日(木) レッドアロー号で風邪を引く

 小雨のち、曇り。24℃。

 昨日は台風の影響で大雨。知多半島に上陸、日本海に抜けた後も強い雨が続いた。天気予報では栃木・茨城に大雨特別警報という、見慣れない文字も。怖いなぁ。

 今朝は7時前に起床、シャワーで眠気を取り、8時前池袋へ。クライアント取材のため、8時30分発のレッドアロー号に乗って秩父に向かう。湿度がやたら高かったのでジャケットを脱いだものの、冷房が入った車内は寒いほど。つい5分ほどウトウトしたら、あっさり風邪を引いてしまった。昼食を挟んで3時過ぎまで4名にインタビュー。某業界は各社低迷、将来市場規模が小さくなるものと予想されているが、おいそれと次の成長エンジンは見つからない。景気のいい話が聞けるのは、いつになるのだろう。社長という仕事は、つくづく大変だなと思う。4時25分のレッドアロー号で戻る。車中、35歳プロデューサーから訊ねられるままに浮き沈みの大きすぎる広告業界の話をすると、呆れられてしまった。池袋近くまで来ても小雨は続いていたが、日没直前晴れ間が広がり、久しぶりに太陽を拝んだ。本当に今年の9月は雨が多い。しばらく雨はいらないや。

 地元の駅前で野菜炒め定食を食べてから、2日前にオープンしたココカラファインを覗く。ここはドラッグストアだが、食品や酒も売っているという非常に奇妙な形態になった。長くドラッグストアがなく不便だっただけに期待していたのだが、残念な感じ。個人的には、もやしやビールやカップヌードルが並んだ視界に洗剤や化粧品が入るのが、すごく落ち着かない。せっかく2フロアあるのだから、分けりゃいいだろうにごちゃごちゃ。通路も狭く、商品も見づらい。期待していたのになぁ。


9月11日(金) 朝飯前に職人の話を聞く

 晴れて29℃。何日ぶりだろう。

 2日前に台風18号が日本海に抜けたと思ったら、昨日は台風17号が北上して北関東を中心に大量の雨を降らせた。栃木の鬼怒川の堤防が各所で決壊したとのこと。家が流される様子は、4年前の東日本大震災の津波被害のニュースを再び見ているかのようである。収穫が近い稲や果物もみんな泥の下。なんと切ないこと。

 7時前起床。久しぶりに晴れ間が広がった。8時過ぎに目黒の某所で、建設関係の職人さんに求人サイト用にインタビューする。長くこの仕事をしているが、職人に話を聞くのは初めて。堅物とか無口だったらどうしようと思ったが、話し好きの方で助かった。土木関係は今、どこも人手不足で、社員やアルバイトを募集しても、長続きしないらしい。「昔は悪さをしている奴は行くところがなかったから、それなりに根性があったが、今は選択肢があるから1日で来なくなる」のだとか。ご自身で仕事が楽しくなったのはいつからですかと訊ねると、「3年目から」。それは奇しくも自分も同じで、石の上にも3年はあながち外れていないですね、とお互い笑う。もう少し話を聞きたかったが、職人さんは久しぶりの晴れで仕事に早く出かけたいとのことで、インタビューは10時前に切り上げて終了。もう電車、バスを乗り継いで帰宅したら、ツマはまだ寝ていた。

 午後イチ、不動産広告の依頼を受けているプロダクションからメール、急遽日曜日中にコピーをアップしろという内容で、こちらの事情を一切斟酌しない態度にむかっ腹が立つ。夕方、近所の皮膚科に出かける。3カ月前から少しずつ症状が出ていたアレルギー反応の原因が、どうやらパンツのゴムにあるらしいことが分かる。え、ゴム?と思うが、花粉症と一緒で、許容用を超えて症状に出来たものらしく、敏感肌の人には珍しくないんだとか。薬を処方してもらうのと、下着のシャツをパンツの下に入れること、できればゴムを使っていないパンツを履くようにときつく言われてしまう。小学生みたいだが、まあ、しょうがないか。その後、酒を飲みでかけることもなく、夜中まで仕事、仕事、仕事。あー、ストレスが溜まるなぁ。


9月18日(金) 褌を締めて着物にしろと言われるが如く

 曇って、24℃。

 昨日の夜から不動産広告の仕事、書いては直しの連続。本当に疲れる。今日もぎりぎりまで攻防が続くと思っていたため、朝7時からメールをチェックする。昨夜のうちに印刷に回すとディレクターは言っていたが、ぎりぎりセーフだったのか。安堵して二度寝、9時に起きる。

 昼過ぎ、近所の皮膚科に行ってアレルギーの薬をもらう。効果がないと伝えると、新しいものに変えてくれた。が、ペンキのように真っ白、しかもねっとりしていて、まるで車の潤滑油か、白いコールタールのよう(そんなものはないだろうけど)。「下着に付くと白くなって、簡単には落ちないので、Tシャツを切って巻くなりしてください」とのこと。めんどくせー。診察室を出る際には、「下着はゴムが肌に触れないか、ゴムを不使用のものを履くように。ズボンのベルトはしないように」と。褌にしろ、着物にしろと言われているような気になった。なんだかなー。

  明日から世間様は5連休。店は当然ヒマになる。「休みばっかり作って、政治家は何を考えているんだ」とテレビ相手に毒づくツマの気持ちも分かる。こちらも、休み明けの忙しさを考えると憂鬱である。


9月19日(土) 里芋について考える

 1週間ぶりの晴れ。29℃。

 昨日から一気に6℃上昇。嬉しくて、昼前、いつものコースをジョギングする。安保法案が通過したせいなのか、富ケ谷の首相私邸を警備している警察官の緊張感が緩んでいる感じ。

 午後、近所の図書館へ。以前は仕事がらみの本も躊躇なく購入していたが(「上越地方の山菜」「五島列島の畜産史」という類い)、本棚に収容できる量を超え、お金も馬鹿にならない。それにこの先2度と読むことのない本を飾ってどうするという思いも湧いてきた。で、ここ数年はできる限り図書館を利用し、それでもなかったら古本屋、どうしても必要なものだけ新刊で買うことにしている。今回もそのパターンで、仕事がらみの調べ物のため、「イモと日本人」「稲作以前(名著!)」「栽培植物と農耕の起源」「日本災異志」「サトイモ」ほか、7冊ほどを取り寄せた。

  稲作が始まる前から常食していた里芋が、当時の日本人にとってどんな位置づけだったのかについて、裏付けを得たかったのだが、なかなか楽かった。歴史の教科書などに「太古に大陸より伝わったとされる」という文章を見かけるが、いま一つイメージが湧いてこないし、そもそも主語が判らない。が、「遠い昔、南方のインダス、ガンジス、長江下流域から、命をつなぐ食料としてサトイモを携え、新天地を求め旅に出た人々がいた。その一部がアジア大陸東端の日本列島にたどりつき、生活を始めた。これがサトイネの日本への初上陸と考えられる」と書かれていると情景が浮び、実に分かりやすい。こうでなくちゃいけない。今日も正月に雑煮の形で餅を食べるのは粘り気のある里芋に由来しているとか、伊勢神宮の儀礼食は遠い昔の日本人が一番のご馳走と考えていたものであるとか、縄文時代には里芋が貴重な炭水化物源だったことから十五夜には神様に供え、そのお下がりをいただくことで子孫繁栄を願ったとか。なるほど、なるほど。そうであったか。


9月22日(祝) 窓を磨く

 晴れて28℃。ほんに、気持ちのいいことよ。

 シルバーウィーク(格好悪いネーミング)4日目。どこの代議士が提案したのか、何年か前から3連休だの、大型連休だのが一気に増えた。そのたびに仕事が停滞し、休みが明けるやてんてこ舞いになる。ほんと、大迷惑。世の中、サラリーマンだけではないんだ、まったく。

 大雨が続いて窓の汚れが目立つようになった窓の掃除に、えいやと窓掃除に取り掛かる……つもりが、掛かり付けの皮膚科のお医者から電話があった。休日だというのに何だろうと思ったら、現在アレルギーが原因で腹と腰に痒みが出ているのだが、そこで処方してもらっている抗生物質と、以前から高血圧対策で飲んでいる抗止血効果がバッティングする可能性がある。痒みはそれが原因である可能性が高いので、高血圧対策の薬をやめて欲しいとのこと。分かりましたと言ったけど、ホームページを見ると掛かり付けのクリニックは今週いっぱいは休診。いかんともしがたく、自分の判断で抗止血剤を半分にし、酒量を控えることにする。効果があるといいのだが。

 10時過ぎまで原稿書きをあれこれ。早めに仕事を終えたはいいが、誓って1日目から酒を普通に飲んでは情けなさすぎる。ビールと水だけで我慢し、2時までテレビを見てすごす。夜が長いなぁ。


9月26日(土) いい蕎麦屋を見つける

 曇って26℃。ちょっと蒸すかな。

 普通に朝から仕事。だらだら原稿書きやら、資料集めで時間があっという間に過ぎていく。夕方6時半、すっかり日が落ちてからツマと京王線のとある蕎麦屋にて食事をすることに。開店してそれほど日が経っておらず、店構えは蕎麦屋というよりカフェのようだが、蕎麦はきりりと角が立ち、汁はかなり美味い(というか好みである)と思う。酒の肴に頼んだ蕎麦掻きはちょっと残念だったが、日本酒のセレクトも上々。期待が持てる。お勘定をすませてから、汁を褒めて店を出ようとすると、深々とアタマを下げられた。頑張れ、若者。また、楽しみにしています。

 時計を見れば、まだ8時。うちの近所にはない高級なスーパーに寄って買い物を済ませ、帰宅。酒を控えると夜が長い。することがないので、12時半にベッドに入る。 


9月28日(月) スーパームーンを少しだけ眺める

 曇り、のち雨。ときどき晴れ。山形は26℃だったがす。

 朝、5時半起き。和食PR誌の取材のため、7時過ぎの新幹線で調理長、カメラマンと山形へ向かう。ずっと前から行きたかったが、なかなか食材の旬と発行タイミングが合わずにいたが、ようやく秋の庄内を訪ねることが決まった。が、スケジュールをいざ組もうとすると、いやー、鶴岡、酒田の遠いこと。山形まで2時間半で、そこからレンタカーに乗り、昼食を挟んで2時間半。オケツが痛くてしょうがない。1000年近い歴史のある神社を護っている茸農家、月山の麓の人参農家、鶴岡の茶豆農家を慌ただしく3軒回ると5時に。が、いま一つ、食材に力がなく、手応えが弱い。しまいには大雨が降り出し、なんだかなぁという気分に。山形市に戻るとこちらでは雨が降っていなかったようで、雲の間に特大サイズの月が見えたり、隠れたり。今日は旧暦8月15日の翌日、スーパームーンが見えるとニュースで言っていたな。7時近く、へろへろの体を引きずってホテルにチェックイン。

 当初、夕食は郷土料理の店をと思っていたのだが、こちらも含めて疲れ果て、腹もぺこぺこ。ホテルの並びの居酒屋で済ますことにする。特別すごいものはなかったが、野菜も、刺身も、上等。気取っていないところが好感が持てる。店のこと、若い職人のこと、料理のコンセプトのこと、PR誌の構成など、仕事関係の話で、3人、あれやこれやと盛り上がる。13年目、44号にもなるPR誌だが、あと何年か続けられるのかな。
お勘定してもらうと、東京標準の2割安。日本酒もそこそこ美味かったし、中満足!