8月1日(土) 外気の熱で足がやられる

 快晴、35℃。げんなり。
 
 昨日に続き猛暑日となる。気を抜けば死んでしまいそうな暑さだが、それでも朝は涼しい風が入ってくる。2週間走っていなかったので今日はなんとしてもと思ったが、もたもたしているうちに11時近くになり、暑さに怖じ気づき、出そびれてしまった。午後も汗まみれになって仕事。が、窓から吹き込む風が熱いほどで、剥き出しの脛が痛くなった。考えごとをしていたはずなのに頭がぼーっとし、気づけばPCのモニターをただ漫然と眺めていた。我慢しきれず、今年3度目のエアコンを2時間入れる。

 明日提出の不動産広告のコンセプトを昨日送ったのだが、AD氏より修正依頼が入り、夜まで悶々と格闘。本日元アルバイトSちゃんの経堂の店の2周年だったが、気が重くて出かける気分にならなかった。ウイスキー、濃いめを2杯飲んで寝ることにする。なお、経堂へ向かったツマは明け方に帰ってきた。やはり、出かけなくて正解だった。


8月7日(金) 頭が火傷しそうになる

 快晴すぎ、37℃。死んでまうやろ。

 午前10時過ぎに外出、西日暮里にて打合せ。駅からの500mあまりの道が、熱気でくらくら。日干しのかっぱになった気分になる。が、このくそ暑い中を走っている男性がいて、あんたはマゾか、命を賭けてどうすると言いたくなる。ふー。依頼されたPR誌の仕事はボリュームがあったが、アップは10日後とのこと。緩いスケジュールに安堵する。その事務所からテレビで放映され、気になった谷中の肉屋さんが近いことを思い出し、炎天下を散策。噂のコンビーフを購入する。有名な谷中銀座は外国人観光客だらけ。路地の狭さがいいんだろうな。日暮里駅近くで昼食をと思ったが、土地勘ゼロ。グルッとひと回りして、結局、つけ麺屋に入ることにする。ラーメン評論家がずいぶんと持ち上げた記事を書いていたようだが、好みが違うようで、そんなに旨いかなぁという感じ。途中、不動産広告の依頼メールがまた入り、いやーな感じ。

 山手線を内回りで新宿。小さな用事を片づけ、地元のスーパーで西瓜を買って帰宅する。シャワーを浴びて、さっぱり。以後、夜まで本日打合せをした仕事にさっそく取り掛かる。夜7時半過ぎ、虎の子へ。代理店プロデューサーN女史と待ち合わせ。30分遅れて旦那さんが合流し、3人で他愛のない話で盛り上がる。旦那さんはちょっと仕事が停滞しているらしく、「会社辞めたいなぁ」とグチグチ。それを奥さんが「マンションを買い替えたばかりなのに、どうするのよ」とゆるーい夫婦喧嘩が始まった。元同僚の夫婦だけど、会話の厳しいことよ。旦那さん、訪日外国人向けのガイドのような、紹介サイトのような仕事をやりたいとのことだったが、奥さんはこめかみをピクピクさせていた。で、こちらは説教する立場でもないので、日本の観光は本山詣でと伊勢神宮参拝が始まりであること、これからお参りに行く人を自分の代わりに拝んできてくれる人ということでもてなすことが、日本の「おもてなし」の原点であることを教えてあげてお茶を濁すことに。旦那さん、初めて知った話だったようで、結構喜んでくれた。

 ご常連の皆さんは今日から夏休みのようで、お客さんは自分たちのみ。11時まで気兼ねなくたらふく飲めた。そのうち仕事の電話があるといいな、と思いつつお見送りする。12時半帰宅。深夜になっても昼間の熱気は冷めやらず、はなはだ鬱陶しい。帰宅後、今年5回目のエアコンを入れる。


8月8日(土) 武蔵小山で極旨モツにありつく


 薄曇り、32℃。
 
 久しぶりに涼しい朝がうれしくて、山手通りをジョギング。帽子をかぶり忘れたが、日差しはそれほど強くない。あー、幸せ。昨日の酒が汗となって吹き出る。

 午後、昨日の仕事の続きを少しだけ。夕方4時過ぎ、仕事仲間のディレクターS氏に「ムサコで旨いモツ焼き屋があるので、来ませんか」のお誘いに乗って、目黒線の武蔵小山まで。やたら長いアーケード商店街があることぐらいは知っていたが、降りるのは初めてである。もつ焼き屋さんは5時オープンだったが、S氏は勝手知ったるもので、10分前にもかかわらずズカズカ入っていく。すると、お客さんが続々続き、5時10分にはカウンター10席が埋まってしまった。久しぶりにカルビを食べると鮮度が相当よいらしく、溶けた脂がすっきりとして実に旨い。牛串、牛たんも申し分なく、堪能する。で、2人で2時間結構食べたと思ってお勘定してもらうと、合計1万円でおつりが来た。さっすがー。腹ごなしに街紹介を兼ねて周辺をひと巡りする。駅と商店街の間に四谷荒木町と新宿西口思い出横丁を足して2で割ったような飲み屋街があり、実に飲ん兵衛心を刺激する。S氏いわく、「いい感じでしょ。でも、来月にここ全部立ち退きになるんですよ」とのこと。木造住宅密集地帯で火事が起きたらひと堪りもないというのが理由らしいが、なんとまー、もったいない。たとえビルができても、ここまでの風情を醸し出すのは無理だろう。なんとも残念。

 2軒目は駅から少しだけ離れた気取らぬバーへ。マスターとちょっとだけ文学談義、あとは珍しくPOLIのグラッパが置いてあったので、イタリアのグラッパ博物館で酔っぱらった話で小盛り上がり。S氏は今、とある願掛けもあって酒を断っているので、ウーロン茶、ジンジャエール、コーラを飲みながら仕事の話を延々。クライアントの状況と、自分たちに何が期待されているのかを聞かされる。また、仕事の新規依頼も2件あった。自分たちの評価が安定するまではしばらくノーミスでいかないといけない状況のため、神経を使うが、その山を乗り越えれば、本社だけでなく営業最前線とも濃厚な関係が築けそうだ。

 気づけば10時。ジンロックで止めておけば良かったが、せっかく会えたのがうれしくてPOLIのグラッパを飲んだのが利いて、微酔い気分になる。これ以上飲めばタクシーになりそうだったので、お勘定してもらう。代々木のバーもちらっと覗いたが、明日も朝から仕事のため自重して12時前に帰宅。バタンキューとなる。


8月10日(月) 心ならずも夜なべ仕事をする

 薄曇り、31℃。

 昨夜、新規不動産広告のキャッチフレーズ案を考えていたが、出来に納得できず、7時過ぎから手を加えて9時に送信。と、ほどなく、6月からかかえている不動産広告の修正依頼。あまりのしつこさに怒る気もせず、エイヤとやっつける。午後イチ、赤羽橋の別クライアントにてテレビ会議に出席。先週プレゼンしたパンフレット、担当者からは1度目のプレゼンとしてそれなりに評価していただいた。が、社内ミーティングにかけるのはこれから。さて、どうなりますやら。会議後、一緒に出席したCD氏と喫茶店であれやこれやの打合せを1時間あまり。途中、2本の電話が入り、一件は報告書の修正依頼。現物は見ていないが、それほどのボリュームではない。が、後からかかってきた昼間送った不動産広告の件で、これこれこんな感じで構成を変え、追加の赤字にも対応して明日午前中までに持ってこいとのこと(修正依頼11回目!)。たしか入稿は今夜だったはず。それに、修正コピーを書き上げるにはどうやったって5時間はかかる。クソガキ、簡単に言ってくれるなぁ。

 代々木の駅前で立ち食い蕎麦で晩飯がわり。ついでにユンケルを買って帰宅する。その効果かどうかは知らないが、集中力が途切れず、10時までかかって1本、2時過ぎにもう1本上げることができた。我ながらすばらしい! 本当を言えば原稿を夜中に送ると出来がよくないのでしたくなかったが、今夜はそんなことも言うだけの余裕がない。腑抜け状態でウイスキーを飲んだが、頭が冴え渡ってちっとも眠くならず。3時半に帰宅したツマと4時までテレビを見てしまった。

 長すぎる1日。妙な達成感だな、まったく。


8月12日(水) 独り言で怒鳴る

 薄曇り、33℃。

 世間様はお盆休みの方が多いようだが、哀しきフリーランスは本日も仕事。午後イチ、ガラガラの電車に乗って蒲田にて取材する。対応してくれた担当課長は物腰が柔らかい方なのだが、なにしろ声が小さく、こちらとは1mと離れていないのに言葉がよく聞こえない。加えて、一緒に訪ねたプロデューサー氏は風邪気味で、咳込むものだから、さらに聞き取れない。えーい、まったく。40分で終了。ロビーで軽く打合せをすると、9年続けている別件の仕事がなくなったとのこと。ここ数年毎回1度の取材が2度に増え、にもかかわらずギャランティが豆腐の角を落とされるように削られてきたから、こちらも少しホッとしたところもあるが、それにしてもねぇ。冷房が効いていたせいもあるが、二の腕あたりがゾクッと来た。

 来た道をそのまま戻る。そのまま夜中まで仕事。8時過ぎ、別のデザイン会社のCDと1時間ほど電話。2人で仕掛けを考えているプロジェクトが本格的に動きだしそうとのこと。新しいことを始めるのは楽しいはずなのに、体に疲れが蓄っていて言葉ほど心から喜べていない。歳だなぁ。10時過ぎ、昼間の取材テープをリライトしようとボイスレコーダーを再生するも、案の定、声が聞き取れない。しょうがないのでボリュームを上げて聞いていると、そこにプロデューサーがゲホゲホ。鼓膜が震え、思わずヘッドホンを外して「うるさい」と怒鳴ってしまった。長い人生、独り言で怒鳴り声を上げたのは今日が初めて。あー、びっくりした。


8月14日(金) ヨドバシカメラのお兄さんはいい人だ

 薄曇り、32℃。

 昨夜、MacのOSをYosemiteにアップしたのだが、インターネットが使えなくなってしまった。ネットワークには接続してが、反応なし。PCは3年を過ぎると壊れるのが自分の中では法則になっていて、そろそろと思っていた矢先だったから、半ば諦めもあった。iMacにするか、Mac miniにするか、なーんてことを考えつつ、午前中、新宿のヨドバシカメラに出かける。Mac担当のお兄さんに事情を話すと、インターネットの接続とPCは関係ありません。それと、パフォーマンスが落ちているのは、Yosemite対応アプリが増えて現在のOSが対応しきれなくなっているかもしれないですね。まずは、プロバイダに連絡してみてはどうですかと優しく教えていただく。なるほど、そんなものか。それとは別の話として、パフォーマンスを上げるならメモリを増設されてはどうでしょうと薦められる。PCを買い替えれば16〜17万円かかるが、メモリなら1万円程度。大汗かいて歩いてきた甲斐があったというものだ。手ぶらで帰るのもなんなので、京王百貨店の地下で薩摩揚げなんぞを買って帰宅する。電話でプロバイダに電話し、お姉さんに教えていただいた手順でルーターを操作すると無事回復。ヨドバシカメラのお兄さんの言った通りだった。あんたはいい人だ。Mac miniは自分でメモリを増設できるので、本体のフタを開けてみるとホコリが詰まっていることを発見。このところパフォーマンスが落ちていたのは、ここにも原因があったかもしれない。いいお勉強になりました。

 世間はさすがにお休みモードで、電話1本かかって来ず。地味に夜まで仕事をする。


8月18日(火) 楽器のテープ起こしに難行苦行する

 曇って、32℃。

 お盆休み明けの昨日から普通に仕事。本日はとある講演会のテープ起こしに取り掛かる。講師は若い女性(つまり早口)、演奏家(つまり言葉化できず)、かつ伝統音楽(つまり言葉の解説が面倒くさい )のため、いやー、時間がかかるかかる。普通30分の講演だと7000〜8000字だが、この方、5分経過の時点で2000字超。それだけ打つのに1時間近くかかり、暗ーい気分になる。そのうちご自分が演奏している楽器の説明を始めるのだが、掛け声と楽器の調子を「いよー、ポンポン」とか「じゃらん、じゃららら」とか、「チョン、タタタ」。正確に書いているにもかかわらず、文字にするとまったくもって意味不明な文章になってしまう。「ポンはこうで、スはこう。皆さん、分かりますか?」。もう、どう書けばいいワケ! 悪意なきいじめをウッスラ感じ、全部起こすのにみっちり6時間。耳が痛くなるは、目が霞むはで、はー、しんどかった。


8月21日(金) 古い友人と15年ぶりに再会する

 曇って、29℃。涼しいのか、暑いのか、微妙です。

 仕事は嵐の前のなんとかで、怖いほどの静けさ。お盆休み明けは忙しくなると覚悟していたので、肩透かしを喰った感がある。まあ、いいんだけど。不動産広告、キャッチフレーズ案の追加を催促され、別会社のPR誌は赤字が戻ってきた。どちらも予想範囲内で、よかった。

 夕方、下高井戸へ。学生時代の友人と15年ぶりに再会する。「60歳前のおばさんだからね」とあらかじめメールが来たが、待ち合わせをした本屋ですぐに分かった。顔の肉は落ちたけど、20歳のときと印象は変わらなかった。店がよく分からなかったので、1度だけ行ったことのある居酒屋に入る。長いこと外で酒を飲んでいなかった彼女は、かなりハイテンション。自分で作らないものを食べたいということであれこれ注文したが、下高井戸という土地柄なのか、すべてのボリューミー。あっという間にテーブルが料理でふさがってしまった。もっといろんな種類が食べたかったのにとグチったが、後の祭だ。

 この前、最後に会ったのが下北沢にあった虎の子がオープンした年。それから彼女は娘一人を嫁がせ、末娘を高校に上がるまで育てた。新聞社に勤めていた旦那さんは2年前に定年を迎え、今はチリで教育関係の仕事をしているとのこと。そのかたわら、独身時代ほどじゃないけどライターとしても仕事も続けている。長く懸賞小説の審査委員をしているそうだが、最初の数枚で展開が読めてしまい、そこからページをめくるのが辛くなっているとのこと。業種は違うが、なんだか分かるなぁ。まだ8時だったので、もう一軒。小さな焼鳥屋に入ったつもりが、ここも大盛りサービスの店で、腹がさらに膨れてしまう。自分たちの胃袋が小さくなったことを実感する。遠い昔に彼女に紹介してもらった荒木町の店がまだやっていることを教えてあげると喜び、今度一緒に行くことを約束して、10時過ぎにお開き。

  途中下車しようかちょっと迷ったが、調子に乗ると痛い目に遭うのは多々経験済み。本日はそのまま帰って、12時過ぎにはバタンキュー。


8月28日(金) 渋谷っぽくない店で酒を飲む

 曇って、23℃。蒸し寒いなぁ。

 朝イチからプロデューサーS氏より電話、来週プレゼンのカタログやら、再来週プレゼンの会社案内やらの打合せ。S氏、先日誰でも知っているスーパーブランドと契約ができたとかで、声に張りがあること。また、そことは対極の昭和の匂いがする業界の営業パンフを制作したところ、大量の新規契約が取れたそうで(それには私メも噛んでいるんだけど) 、噂を聞きつけた会社から発注が続いているらしい。世の中にはまだデザインとかクリエイティブに触れたことのない業界があるということなんだろう。「運が向いているときは何をやっても成功する。でも、良いことも10年続かない。かと言って、悪いことも10年続かない。そう思ってやっていれば、そんなに落ち込むこともない」のだそうだ。なるほどなぁ。

 昨日プレゼンした不動産広告の件、まあまあだったらしく、夕方になっても追加案の依頼がなかった。ということでしばらく会っていなかった甥っ子に連絡を取り、7時過ぎに渋谷駅で待ち合わせ。立ち飲みの聖地、富士屋本店に向かう。混雑のピークではあったが、なんとか2人分のスペースを見つけてもらい、体をねじ込む。こういうところは、いかに効率よくお客を詰め込むか、要領よくオーダーをさばくかに躍起になっているので、それに協力するのがお客としての礼儀だ。オーダーは間髪を入れず、清算はあらかじめカウンターにお金を出しておき、オーダーの都度抜いてもらう。が、こんな店でも場を弁えない連中、周りが見えない連中がいるもので、隣の30代男3人組がそういう手合だった。「後で2人すぐ来るから」と3人分の場所を取り、皆が揃ってからと言って酒のオーダーをしないし、料理も頼まない。店員さんがかなり怒り口調で「来るの来ないの、酒は何?」と催促すると、当人だけなのにビール2杯を注文しようとするので、「1杯でいいでしょ」と。その間も薄ら笑いで、カウンターに肘を付いたまま携帯でメールのやり取りを続ける。見ていてこっちの方が、イライラしてしまった。

 8月のこの時期、甥の仕事は閑なようで、内容がのんびりしている。こちらは6月に帰省したことや、仕事の近況なんぞを話す。が、店はますますお客で膨れ上がり、声を張り上げないと会話にならない。1時間半飲み、耳と喉が疲れたところで店を出る。2軒目、宇田川町の超古い焼鳥屋へ。前から入りたかったが、中の様子が判らず、戸を開けられずにいたのだが、本日は2人。酒の勢いを借りて入ってみると、あれま、金曜日だというのにお客さんゼロ。拍子抜けする。界隈では一番の老舗。店の構えもよく、渋谷と思えないぐらい静かなのだが、なぜだろう。適当に焼いてもらった焼き鳥はまあまあ旨かったが、店主とおかみさんが無愛想すぎて目が笑っていない。お客を歓迎しない方式なんだろうか。1人で来るかどうかは微妙だなぁ。不完全燃焼2連発。しょうがないので参宮橋までタクシーで向かい、馴染みのバーに行く。甥っ子は渋谷の店にも驚いていたが、西新宿が一望のこちらのバーにも驚いた様子。2杯飲んで清算してもらうと、安さにさらに驚いていた。3軒回ったものの大して飲んではいなかったが、体に疲れが堪っていたもよう。甥と駅前で別れて帰宅したのが11時前だったのに、リビングで熟睡してしまった。