7月4日(土) 夏蕎麦をたぐる

 雨が降って25℃。梅雨だもの。

 空がぐずついてジョギングに出られず、朝から普通に仕事。スケジュールがはっきり伝えられていないので、まるでペースが上がらず。月曜日朝のサッカーなでしこの試合はすっきりした気分で見ようと自分のオケツを蹴飛ばそうとするが、あまり効果なし。ほったらかしの仕事は、ある日再開が決まって後は大特急というパターンが多い。だから、気をつけなければと頭では分かっているんだけどねぇ。

 6時、仕事終了。つい3週間前、駅前に焼鳥屋がオープンしたのだが、外観がおしゃれすぎて1人で入るには敷居が高い。で、休みのツマを誘って寄ることにする。串3本、野菜スティック、飲み物なんでも1杯のちょい飲みセットが、なんとまあ1000円。地元住民の評判は芳しくなかったが、2人とも焼き鳥の味はそう悪くないという感想。ただし、有線放送の音が大きすぎるので耳が疲れ、照明が明るすぎるので目が疲れる。幼児OKというのも、どうかな。2階にも席があるとはいえ、従業員は10人。焼き鳥食べ放題コースが2000円で、こちらもバカ安。何人お客さんが来たらここの人件費と家賃がペイできると計算したのか、まったくもって分からない。つい先日、ピザ窯まで作ったイタリアンが1年足らずで潰れてしまう街なのに、長く続くかなぁ。

 参宮橋から下北沢、南口の蕎麦屋へ向かう。予約なしで入ったが、すんなり座れてラッキーだった。坪庭、高い天井、木を贅沢に使った設えで、店内は実に美しく、銀座か白金あたりの高級店のよう。七味入れや骨董の角盆の選び方も目が行き届いており、審美眼を感じる。お浸し、揚げ出し豆腐、合格。牛蒡の天麩羅はやや香りが弱く、これだけ少し残念。こちらは盛り、ツマは鴨南蛮を注文する。蕎麦は夏だから香りが弱いが、これはやむを得ない。蕎麦の打ち方、茹で加減、つゆの味わいは申し分なし。マネジャーらしき男性にもいろいろ気を遣っていただき、サービスも満足だった。酒は2人で3合で微酔いになる。秋に入って新蕎麦の季節を迎えたら、また来よう。下北沢に来る楽しみが増えた。

 その後、北口にあるZという長い付き合いの飲み屋に寄って、少しだけウイスキーと焼酎。料理はほとんど頼めず頼めず、申し訳ない気分。11時過ぎに帰宅。今週末は健康的だなぁ。


7月6日(月) なでしこの闘いぶりに心打たれる

 雨が降って21℃。

 本日は朝8時から女子サッカーW杯の決勝、なでしこの試合を見ようと思ったが、昨晩ジョギングした疲れのため、前半終了したときにテレビを付ける。が、嫌な予感がしてビデオ録画したものを始まりから見ることに。立ち上がりの猛ラッシュで押し込まれ、15分の間に4点先行を許す。ど、ど、どーした。なでしこ。アメリカは確かに上手い。縦ポンダッシュのイギリスとは違う。それにしても、浮き足立ったなでしこはしばらく見たことがない。が、27分に大儀見が技ありシュートで1点返し、希望をつなげる。後半6分に宮山が澤に上げたボールがオウンを誘い、もしかしたらと思ったら、直後に5点目を決められ、万事休す。それにしても、最後までパス主体のサッカーを諦めない闘いぶりに胸が熱くなった。破れたけど、世界2位だ。すごいよ、まったく。

 昼過ぎ、プロダクションのディレクターから電話。ある案件のキャッチフレーズが、先方担当者のほとんど難癖のような意見で修正してほしいとのこと。あー、めんどくさ。夜中まであれやこれや考えたが、「中学生でも分かる英語で、奥行きのあるコピーを」という注文に悪戦苦闘する。いらいらするなぁ。


7月7日(水) わが家にグリーンがやってきた

 小雨、24℃。しばらくお天道さまを拝んでいないなぁ。

 朝イチから、不動産のコピーワーク。午後、今回で43号となる和食PR誌の色校正。だんだん調理長より年が上になって、自分たちの意見も通じることが増えているが、なにせ12年である。一緒にやっているカメラマンは100号までやろうなどと能天気なことを言っているが、70歳まで続くはずはない。50号まで続けられたらいいなぁ。

 午後、友人の庭師のOくんが訪問。隣にマンションが建ち、向こうからこちらの寝室が丸見えになるのが嫌で目隠し用にグリーンを頼んでいたのだが、モミジを届けてくれた。ベランダに置いてみると、1本では効果が薄く、もう1本追加で注文することにする。以前はカーテンを開けると桜の大木が視界いっぱいに広がっていたが、今は昔の物語。全然そこまで行かないけれど、かなりいい感じになってきた。

 以後、夜中まで不動産の仕事。1週間も書いていてだいぶ飽きてきたが、山でいえば、まだ3合目。先は長いなぁ。


7月11日(土) お天道さまよ、ありがとうなのだ

 晴れて31℃。梅雨明けか? まさかね。

 このところずっと愚図ついた天気が続いていたが、昨日、今日と久しぶりの快晴。うれしくって、午前中は山手通りのコースを5kmほどジョギングする。外に出るとくらくらするような日差しだったが、帽子を被ってきたので、ぶっ倒れることもなく走り終える。汗がうれしいほど出る。このところ、アルコール以外にもいろいろ体の芯に溜まっていたからなぁ。毒素が出たかも。

 午後、不動産のカタログをワシワシと書き進める。相性がよくない分野だが、他のライターさんがしっかりした仕事をしているのを見ると、頑張らなくちゃと思う。今週は、ほんの少しながら「正解」の尻尾らしきものを掴めた感じ。前進と言うにはおこがましいが、依頼があるうちが花だ。がんばらなくては。そんなこんなで10時まで仕事。日本酒をしばらく口にしていなかったので、虎の子に出向く。と、カウンターで賑やかに飲んでいるご常連が1組み。お2人、お友達かと思えば、そうではなく、酒やワインの話でカウンターに並んだご縁で盛り上がったらしい。すでに結構お飲みの様子だったが、若いだけあって元気いっぱいでうらやましい。こちらも1時間ほど飲んだあたりから、少し酒の話などに加わり、楽しませてもらう。居酒屋は他愛のない話で酒を飲むのが一番だな。後、古いご常連さんがひょっこり顔を出してくれたが、こちらはこれ以上飲んでは明日の仕事に差し障りが出てしまいそう。12時すぎに店を出ることにする。

 厄介な不動産仕事は、ようやく3合目ぐらい。8月納品はできるのかな。ともあれ、明日以降しばらくは晴れが続きそうでうれしい。お天道さまの偉さが身にしみる週だったなぁ。


7月17日(金) 真夜中、新宿の本屋を訪ねる

 にわか雨、30℃。台風の影響で風が強いけれど、雨はそれほどでも。

 昨夜10時に送ったある提案書ついてすぐさまディレクター氏より修正依頼が入り、夜中までかかって対応。そのまま送信してもよかったが、長年の経験で原稿とラブレターは朝送るに限る。で、朝7時半に起き、もう一度だけ原稿を推敲して8時半に送信する。どうやらOKが出たらしく、その後は連絡なし。午後、別件の原稿書きをするが、睡眠時間4時間半ではさすがに眠く、1時間昼寝する。寝室に風がよく入るのと、2年間悩まされた建築工事の音もないため、熟睡。夕方、1年ぶりに酒を飲む約束をしていた友人デザイナーから、緊急の直しが入った旨のLINEが入ってしまい、しょうがないので夜まで原稿書きをする。

 どうしても気になることがあり、ネットで夜遅くまでやっている書店を調べ、10時過ぎに東京モード学院の地下に入っているブックファーストの新宿店を訪ねる。深夜というのに、酒も飲まず(当たり前か)に真面目に本を探している人のなんと多いこと。飲み屋稼業が儲からないのも道理である。3冊購入した後、南新宿の馴染みのバーへ顔を出す。いつ今し方まで外国人のお客さんがいたそうだったが、すれ違ったようで、お客さんは誰もおらず。1時間ほどご近所情報を交換して、お勘定をしてもらう。

 3連休前だったから、飲みたかったけど、まあ、しょうがありません。


7月18日(土) 16キロ歩く

 曇たり、小雨が降ったり、29℃。

 朝ジョギングするつもりが、朝早く起きすぎたので2度寝。気づけばお昼近くになり、結局、走れなかった。午後3時過ぎ、この間から取り掛かっている不動産の仕事のリサーチのため、上野を訪ねる。当然ながら何度も足を運んだことはあるが、仕事として取材して回るのは初めてである。しばらく来ないうちに西郷さんの下は、昭和の臭いがプンプンの建物が一掃。小奇麗な飲食ビルになっていて、びっくりする。公園を横切り、蓮でいっぱいの不忍池に降りると外国人観光客がいるはいるは。欧米系も、中東系も、東南アジア系の人も、仲よく焼きトウモロコシやら、チョコレートバナナを食べていた。公園下をぐるり歩いていくと、鴎外温泉という日帰り温泉施設を発見。遠い昔に存在を知って一度行きたいと思っていたお座敷中華の古月の前を通り過ぎ、根津まで行ってUターンする。言問通りをひたすら歩き、寛永寺のところで右に折れて、鴬谷。根岸をぐるり歩き、花街の風情がかすかに残る柳町通りを歩く。おお、こんなところに香味屋が。その時点で約2時間。戦災に遭わなかったおかげで路地は入り組んだままで、そのごちゃごちゃ感がたまらなく魅力的な街である。ついぞ自分の住まいの選択肢に加わることはなかったが、いい街だなぁ。草臥れ果てていた6時すぎツマから電話。根岸ではいかにも旨そうな焼鳥屋があり、かなり惹かれたが、明るいうちから飲めば家路が辛くなる。というひとで、新宿で待ち合わせることにする。

 久しぶりの思い出横丁だったが、居酒屋は今一つ。若者が多いために耳が疲れてしまい、1時間あまりで退散する。明らかに飲み足りないので、初台までぶらぶら。気になっていた寿司屋は満席のようで諦め、さらに歩くと窓が取っ払われた中華屋があったので入ることにする。2品+飲み物で780円、安いことは嬉しいが、味の方はもうちょっと頑張れというレベル。ここも1時間あまりでお勘定する。結局、地元のスーパーで買い物をして帰るにする。自宅に戻ってスマホを見たら、本日の歩数、21,802歩。距離は16.02km! こんなに歩いたのは、20代以来かもしれない。自分にびっくりする。


7月19日(日) 羽蟻に卒倒しそうになる

 快晴、35℃。

 朝から気温上昇。乾いた風が気持ちがよく、仕事がはかどってうれしい。関東地方、梅雨明け。例年より2日早いらしい。そのまま何もない日で終わるはずだったが、ツマが12時過ぎに帰ってくるなり、「エントランスが虫に占領されている!」と言う。理事長たるもの、これは何とかせねば。マスクをし、キンチョール持参して降りていくとキャーッ。風除室の壁の四方の壁が羽蟻で真っ黒、腰を抜かしそうになる。急に気温が上がったせいで、どこかで湧いたものが、照明に吸い寄せられたのだろう。黒板消しぐらいの塊が5カ所ほどもあった。うわー、気持ちが悪い。が、キンチョールを吹き付けると、あっさりドサドサと落ちていく。20分ほど格闘して、エレベーターホール、玄関前のも何とか片づけることができた。殺虫剤というのは尿素が入っているようで、すっかりおしっこ臭くなるが、卒倒するよりはいいだろう。最後に箒で掃除して袋に集めたら、結構な重さを感じた。3連休の中日、それも夜中だったから大事にならなかったが、そうでなければ、パニックになった人もいただろう。50代後半のおっさんも、十分ビビりました。


7月22日(水) ノンアルコールビールに酔う

 快晴、33℃。

 不動産広告の仕事に振り回され、昨日は深夜まで1時まで、本日は7時から仕事。相変わらず暴力的なスケジュールである。気温上昇、炭酸系のものが飲みたく、冷蔵庫にあったノンアルコールビールを飲みながら仕事をしていたら、なぜか頭がボーッとしてきた。な、な、なぜ。アルコールではない、どの原料がこうさせているのだろう。よく分からない。

 午後、たまらず30分昼寝。頭がすっきりしたので、別口の仕事をあれやこれや片づける。夜10時半、不動産広告をやっているプロダクションのディレクターから本日も電話があり、またも原稿の直しの依頼を受ける。2日連続の夜鍋仕事かと思い、ムッとしたが、送られてきた赤字をpdfで見るとそうでもなかった。おそらく5時間もあれば大丈夫。これは朝からやるに限る。ちょっとだけ早めにウイスキーを飲み、1時過ぎに寝てしまう。


7月24日(金) 雷にビビりまくる

 曇り後、雷雨。34℃。

 朝から生暖かい風が吹く。1時ぐらいから雨が降り出し、やがて雷が鳴るように。1時間は猛烈な雷雨となる。光ったと思ったらすぐさまドカドカドカドーンで、窓の近くで仕事をするのが怖くなるほど。ツマも、いつ店に向かうべきか思案にくれる。幸い3時半に収まり、雨も上がった。日曜日の羽蟻に続いて本日もしこたまビビらされる。ニュースでは地下鉄渋谷駅が一部冠水したらしい。あれだけ降れば、それも不思議できない。以後、夜まで照明システムの提案書。2度書き直すが、ディレクター氏も迷っているところがあり、最後にもう一度書き直すことになった。15年のつきあいがあるクライアントだが、経営破綻。会社が売られ、リストラされずに残った担当者も、親会社の訳のわからない営業担当の意向に従わねばならない。「すいませんね」「申し訳ないです」の連発。苦しい腹の内を知っているだけに、外注先である自分たちが腐るわけにも行かない。ディレクター氏と話す時間が長くなる。

 結局、1時過ぎまで仕事。リビングの窓を全開にすると、涼しい風が吹き込んで、本日唯一、いい気分になる。


7月27日(月) 喉を痛める

 快晴、35℃。息もたえだえ。

 昨日に引き続き、猛暑日。エアコンは生来嫌いだが、さすがに午後は堪え難くなり、今年2度目のスイッチオン。ぼーっとしていた頭にカツを入れて、小さな仕事をいくつかこなす。夕方、外出。某クライアントより暑気払いのお誘いで、有楽町のガード下にある外国人経営の居酒屋へ向かう。ずっと前から名前は知っていたが入るのは初めてで、店員の方はレジ係は日本人だが、お運びさんはタイ人、ベトナム人、台湾人など、アジア系外国人の女性ばかり。お客さんも4割方が外国人観光客。こんな店だったとは、知らなかった。この店、風情はあるのだが、ガード下のため2階は天井が低く、周りの声が反響してしまい、2席離れた先の方とも会話が成立せず。喉が疲れてしまう。こちらの名物というタラバガニのほか、鰻、天麩羅、ノドグロの塩焼きなど、高カロリー系のメニューを山ほど食べる。

 出席者のリーダー格のO氏が「カラオケ行くぞ」の声に引きずられて、ビッグエコーへ移動。込み合う時間のようで、やっと取れた部屋がビップルーム。左にペニンシュラホテル、右手に新幹線が走るところが見えた。順繰りでマイクが周ってきてしまい、こちらもしぶしぶ4曲歌う。歳が近いせいもあり、皆さんの選曲は80年代中心。あの頃は音楽番組が多く、ラジオでかかるのもだいたい似たり寄ったりで、歌ったことがないけど歌える曲が多く、自分に驚いてしまう。それに歌詞が非常に分かりやすい。唯一の30代出席者がEXILEを歌っていたが、夢だの、未来だの、笑顔だの、愛だのといったストレートな歌詞で、おっさんが歌うには非常に照れくさい内容であることを初めて知る。うーむ。2時間でお開き。ちらっと会計金額を覗くと先ほど2時間半たらふく呑んで食べた居酒屋と1万円しか違わなかった。ほとんどの人が3杯飲み物を取って、おつまみはポテトフライだけなのになぁ。さすが、ビップルーム。

 耳と喉が疲れてしまい、千代田線で一本なので虎の子へ寄ることにする。ご常連のSさんと元バイトのAちゃんがカウンターで呑んでいて、国立競技場の建設費はなぜ高くなったのか、などという話をして過ごす。癒されました。週の初めなので、寄り道せずに1時半帰宅する。都心のワイワイガヤガヤは体に堪えるなぁ。